個人契約柔道整復師の組織団体を創る意味と価値

 晩夏の頃、まだまだ暑い日が続いていますが、接骨院の先生方に於かれましては御健勝のこととお慶び申し上げます。

また、2年半以上に及ぶコロナ禍の中、地域医療の一翼を担い続けていただいていることに感謝を申し上げます。

さて、色々な出来事が起こる中、厳しい経営が続いている接骨院業界ですが、その中の一つに社会保障費の接骨院業界への配分の問題があると思われます。

2014年当時、約45000院であった接骨院数が、2018年には約50000院に到達し、4年で約5000院増加しています。

一方、療養費支給金額においては、2014年の約3825億円の支給に対して、2018年は約3278億円の減額支給となっています。

接骨院数は5000院増加したが、療養費支給金額は547億円も減額すると云うのは異常な事態としか言いようがありません。

もちろん、接骨院業界が自浄作用を働かせて適正な療養費請求となる業界努力をしたこともあるとは思いますが、それ以外の要素も大きかったのではないかと推測します。

すなわち、社会保障費の配分に関して、他の医療業界の方に優位に作用したのでは無いかと云う推測です。

これは、接骨院業界の未来に於いて非常に厳しい現実であり、捨ておけない現実であると思われます。

国策による社会保障費の抑制と云う方針はあるにせよ、支給が増加している医療業界も存在します。

すなわち、必要と認める医療業界へは支給すると云うことでしょう。

では何故、接骨院業界はこのような状況になってしまったのでしょうか。

一言で言えば、他の医療業界に比して、接骨院業界の政府への影響力や交渉力の低さであると言えるでしょう。

これまで、接骨院業界を代表して政府に意見提言をして来たのは、日本柔道整復師会(日整)であります。

今まで接骨院業界を代表して、政府と交渉をいただきました日本柔道整復師会には感謝を申し上げます。

しかしながら現在、接骨院業界の約70%は個人契約柔道整復師の団体か個人となっていますので、今後は、約70%を占める個人契約柔道整復師の意見も政府に届ける必要があると考えます。

よって、個人契約柔道整復師の団体及び個人が、まずは1つの大きな組織団体となり、接骨院業界の意見を取りまとめる必要があります。

その上で、日本柔道整復師会と連携をし、政府に影響力をしめせる業界となることも重要となるでしょう。

政府への影響力や交渉には、数の力は非常に重要であるからです。

そして、政府に対し接骨院業界の意見を強く提言し、業界の未来に繋げるようにしたいと考えます!

2020年4月に設立された全国柔道整復師統合協議会は、70%を占める個人契約柔道整復師の声を、政府に届ける為に設立された団体であり、現在、約30%接骨院が加盟しています。

そして、以下の9つの方針を掲げています。

1、柔道整復の業を行う施術所における合法的な「自由診療」の確立。

2、外傷性の疾患から「運動器系疾患」への業務範囲の拡大。

3、医療協力体制とあん摩はりきゅう、介護分野との併給施術協力の構築。

4、全ての施術所への「電子請求・オンライン請求・オンライン資格確認」の導入。

5、患者の立場での広告ガイドライン制定と業界自主規制の構築。

6、業界の代弁者たる国会議員の排出。

7、国民の負担軽減と利便性を考慮した「受領委任」制度の堅持。

8、全ての柔道整復師に公平・公正な「柔整審査会」の基盤作り。

9、保険者との信頼関係によって構築された「復委任団体」の存続。

接骨院業界で起こっている現状は、決して対岸の火事ではありません!

未来、接骨院業界が発展していくように共に大同団結をして欲しいと存じます。どうぞ宜しくお願い申し上げます。

全国柔道整復師統合協議会 理事
全国柔道整復師連合会 常任理事
日本保険請求財団 代表理事
大平 雄伸

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