近藤昌之

私ども柔道整復師業界について、当会の田中会長、田畑、大平理事が業界の現状・今抱える問題、そして大同団結の必要性について述べてきました。

私は
1,健康寿命を延ばす
2,運動器系の強化は健康に繋がる
この2点に柔道整復師の無限の可能性があると思っています。

人生100年時代の言葉が現実となっている昨今ではありますが、100年前の日本人の平均寿命は40歳代でした。それが今では世界で1,2を争う長寿国になりました。

令和3年の厚労省のデーターでは女性87.14歳。男性80.98歳。自死や事故等もありますので亡くなられる年齢は女性90歳、男性85歳ぐらいというのが現実の実態のようです。出来れば心穏やかに健康で天寿を全うしたい、それが国民全体の願いでもあります。

健康寿命という言葉を知っていますか?

健康寿命とは日常生活が制限されることなく健康に生活出来る期間の事です。内閣府のデーターでは健康寿命と平均寿命との差が、女性で12.35年、男性で8.84年あります。(令和3年高齢社会白書)この約10年前後が病気や介護を経験しながら、人の手を借りて過ごす期間なのです。

 厚労省は介護が必要となった主な原因認知症・脳血管障害・高齢衰弱・骨折転倒・関節疾患の順だと発表しています。これらがサルコペニア(全身の筋肉低下)やフレイル(心身の虚弱)といわれる状態を引き起こします。

これらにならないためには、病気の予防は勿論ですが、食事・睡眠・正しい運動がとても重要といわれています。運動機能が低下すると骨や筋肉が弱くなるばかりでなく、栄養や酸素を送る血液が内臓や各組織に適切に届かなくなってしまいます。

そのため、多くの疾病の原因や身体機能の低下を起こしているのです。

介護が必要となった主な原因の構成割合

 この問題を解決することは超高齢大国といわれる日本の喫緊の課題です。

私たちの柔道整復学は整復・固定・後療法を基本としますが、その原点は「整え医学」。すなわち緩める・整える・鍛えるという考え方がとても有効に作用するからです。

運動したくても痛みがあれば積極的に運動することができません。柔道整復師は運動を構成する骨・筋・皮膚に対して固いところを緩めることが出来ます。これで痛みの原因である神経の圧迫を取り除き血液の流れを改善していきます。(緩骨・緩筋・緩膚)。その結果痛みが薄れてくるのです。

 次に緩めた骨や筋肉・皮膚に対して本来の正しい位置に整えていきます。多くの人が骨格のアンバランスや日常生活の癖で歪みを生じているのです。歪みは血管神経を圧迫し、痛みの原因となり運動の障害も起こしていきます。

整えられた正しい姿勢の身体は、本来持っている機能を高め最高のパフォーマンスを実現します。(整骨・整筋・整膚)。正しい運動を行える正しい姿勢は運動機能だけでなく、血液の流れを良くし心肺機能や消化器や循環器にも良い影響を与えてくれるのです。

この正しい姿勢に対して適度な運動骨や筋肉、皮膚を強く丈夫にしてくれます。老化に負けないためには、自分の身体を鍛える運動が必要なのです。(鍛骨・鍛筋・鍛膚)。

 強く活性化した骨は活性化した血を作り、筋肉は血液を身体の至る所に運びます。酸素と栄養が行き渡るのです。強い皮膚は水分や体温調節を適正にし、外からの有害刺激から守る働きを強化します。

将に柔道整復師だから出来ることの1つなのです。

 厚生労働省が3年ごとに本格実施する国民生活基礎調査を見れば明らかですが、日本人の有訴率の高いもの男女とも腰痛・肩こり・手足の関節の痛み等の運動器系の症状だということです。

これらの症状を抱えたまま仕事をしている状態を「プレゼンティーイズム」といいます。これがパフォーマンス(労働遂行能力)の低下を引き起こす原因となっているのです。

産業医科大学の永田智久准教授(産業医学)らの研究では健康問題に関わるコストのうち、医療費や薬剤費は25%、病気での欠勤(アブセンティーイズム)は11%だったのに対し、プレゼンティーイズムは64%を占めたと報告されています。

 運動器のパフォーマンスの低下は人間の生理機構の低下をもたらすことが常識となってきました。痛みを取り、体型を整え、運動機能を強化する。すなわち私たちが日常に行う、緩める・整える・鍛えるという行為が運動機能を強化いたします。

運動機能の強化は内臓の働きを助け、血液の循環を促進します。私たちの柔道整復術は日本を世界を健康にする一助になるのです。

ケガ以外の分野での柔道整復師の活躍

これも私たちに求められる時代の大きな希求であると言えるのです。

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