個人契約の柔道整復師が柔整業界になすべきことは

個人契約の柔道整復師が施術管理者を務める施術所は、全国7割となる約35,000院(2020年12月31日現在)あると言われています。そのうち、いわゆる請求代行と言われる団体に所属している個人契約の柔道整復師は、約20,000院~25,000院とも言われており、意見集約もできずバラバラだとかアウトサイダーなどと揶揄されてきました。

それに加えて、療養費改定や制度改正等に関しても「個人契約はバラバラだから」とのことで、関係機関等との交渉の場に就くことすら許されてきませんでした。

風向きが変わったのは、2009年に民主党が政権交代を実現した時でした。当時、「民主党統合医療を普及・促進する議員の会」会長であった鳩山由紀夫元衆議院議員が内閣総理大臣に就任され、厚生労働省などの関係機関へ個人契約柔道整復師の現場の声が取り上げられるようになりました。

また、2010年1月29日の鳩山内閣施政方針演説にて『健康寿命を伸ばすとの観点から、統合医療の積極的な推進について検討を進める』と述べられるなど、統合医療という大枠の中で、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師の存在がクローズアップされてきたのもこの頃です。

これまで、療養費改定や制度改正等がどのような議論が行われているか等を知ることすらできなかった個人契約柔道整復師がさらに飛躍したのが、2012年5月24日に開催された「第54回 社会保障審議会医療保険部会」において、柔道整復療養費の中・長期的な視点に立った療養費の在り方の見直しについて検討を行う「社会保障審議会医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会」が設置されたことでした。

この「柔道整復療養費検討専門委員会」では、5名の施術者代表専門委員として協定施術者3名、個人契約施術者2名が選出されました。国の公的機関において、個人契約柔道整復師が表舞台に立つことができるようになった瞬間でした。

その後、22回にわたり「柔道整復療養費検討専門委員会」が開催され、個人契約柔道整復師から2名の専門委員が輩出され続けた結果、個人契約柔道整復師の声、そして、これまで業界では当たり前でなかった社会保険完備、労務コンプライアンスを遵守する法人経営の施術所などの声も国の公的機関に届けられてきました。全国の柔道整復師の約7割を占める個人契約柔道整復師が表舞台に出てきたことにより、全国の様々な現場の声が制度改正等に反映されてきたことは、国民の皆様に対して一定の成果を生み出すことができたと考えております。

 この度、個人契約柔道整復師及び個人契約請求代行団体の統合団体「全国柔道整復師統合協議会(共同代表:岸野雅方、田中威勢夫)」は、会員施術所数が15,251院(2022年3月31日現在)となり、全国の個人契約柔道整復師の4割を占めるまでになりました。

個人契約柔道整復師が業界になすことができるのは、すべての柔道整復師が目の前の患者の施術に専念できる環境を作り、すべての柔道整復師が互いを認め合い、そしてこの素晴らしい日本古来の徒手整復の業を未来につなげていくためにも、全国の柔道整復師の7割を占める個人契約柔道整復師の役割は、ますます重要になってくるものと確信しております。

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