この素晴らしい徒手整復の技術を次世代に継承していくために

厚生労働省が発表した「令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」をみて、私は愕然としました。

令和2年の就業柔道整復師数は75,786人で、前回(隔年報のため、2年前の数字)に比べて2,769人増加しました。増加したといえば聞こえはよいですが、ここ10年の伸び率では最も低い3.8%増に留まりました。

また、柔道整復の施術所については50,364ヶ所と、前回(隔年報のため、2年前の数字)に比べて287ヶ所増加しましたが、こちらもここ10年の伸び率では最も低い0.7%増となりました。特に、東京都にいたっては前回と比べて36ヶ所減少するなど、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けたと思われる結果となりました。

新型コロナウイルス感染症への対策としては、公益社団法人日本柔道整復師会をはじめ、一般社団法人全国柔道整復師連合会や全国柔整鍼灸協同組合など、多くの団体が会員施術所の支援に乗り出しました。

しかし、消毒等の衛生対策や飛沫防止の間仕切りの設置、換気設備の増設など様々な感染防止対策に取り組む結果、経営難に陥り廃業に追い込まれた施術所も多数存在したものと思われます。それらの施術所に対して、柔道整復師の業界団体として支援が行き届かなかったことは慙愧に耐えません。

今後も、すべての柔道整復師が新型コロナウイルスの感染拡大防止に取り組みながら、安心して目の前の患者さんの施術に専念できる環境を作るために、尽力してまいります。

さて、令和3年12月22日に開催された規制改革推進議会において、当面の規制改革の実施事項の一つとして、「柔道整復療養費について、公的な関与の下に請求・審査・支払いが行われる仕組みを検討するとともに、併せてオンライン請求の導入について検討を行う」が明記されました。

現在、柔道整復療養費を中長期的な視点に立って議論する社会保障審議会医療保険部会「柔道整復療養費検討専門委員会」(以下、「専門委員会」とする)では、この公的な関与の下として、『国民健康保険団体連合会』と『社会保険診療報酬支払基金』の審査支払機関を活用する方向で議論が進められています。これは、47都道府県に設置されている公益社団法人都道府県柔道整復師会や個人契約の請求団体だけでなく、すべての柔道整復師の請求・審査・支払方法が根本的に見直されることを意味しています。

柔道整復師の業界団体としては、公益社団法人日本柔道整復師会や全国柔道整復師統合協議会、一般社団法人全国柔道整復師連合会や日本個人契約柔整師連盟などが存在していますが、それらの業界団体も都道府県柔道整復師会や個人契約請求団体などの会員団体の集合体として運営されています。

これらの業界団体は、すべての柔道整復師の利害を代表する会員組織であり、国会議員や行政機関などに現場の施術所が抱える問題点などを伝える役割だけでなく、行政機関によって定められた制度改正や改定事項などについて会員に報告し、それらを徹底させる役割や業界自主規制ルールの策定や業界統計の作成、業界としての社会貢献の実施、広報活動、各種勉強会や会員への指導などを担うなど、多岐にわたります。

 柔道整復師業界の健全な発展のためだけでなく、この素晴らしい徒手整復の技術を如何に次世代に残していくことができるか、業界団体として何をなすべきなのかを柔道整復師の業界に携わるすべての皆さんと共に考えてゆかなければなりません。

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