経絡の触診法

経絡を触診する為には、意識が重要です。

なんの意識もなく経絡を触ろうとするのは、針の形を知らないものが、藁の中から針を見つけようとしているのと同じです。

まず、術者が何の経絡を触ろうとしているのかを明確にする必要があります。つまり見つけたい経絡がどこを走行をしているかぐらいは知っている必要があります。

次に経絡は縦方向に走っていると言われているので、横からスライドさせるように触る必要があります。

経絡は蛇行したり、太くなったり細くなったりしているので、縦方向に触ろうとしても捉えきれないことがあるからです。

横からスライドさせながら上下に触れていくことで、経絡の全容が見えてきます。その方が太さや蛇行している様子も明確にわかるようになります。

また、経絡は一定ではないので、つながっていないこともあるということを理解している必要があります。

手首の橈側には大腸経がありますが、そこに必ず大腸経の反応があるとは限らない。

そういう認識が必要です。

ここにあるはずという思い込みを捨てることが大事です。あくまでも身体の反応を最優先させなければなりません。この意識がないと無理やり大腸経を探そうとしてしまうので、実際には反応が無いのにあるはずと思い込むことで誤診を招いてしまいます。

経絡を触診する場合、初心者は、皮膚に触れようとしてしまいますが、皮膚に触れるか触れないかぐらいのところを触った方がわかりやすく、直接触る場合は、反応の強いところしか捉えることができません。

皮膚に直接触らないで、横にスライドさせながら探っていくと途中消えそうな状態になっているところがあるのもよくわかります。

最初のうちは、ゆっくり行いますが、慣れてきたら、できるだけ早く触診した方が全容を把握できます。

逆のように感じるかもわかりませんが、経絡はあくまで、目に見える存在ではなく、エネルギーの塊なので、変化に富み、移動も激しいという特徴があります。それを完全に捉えるには、できる限りスピードを早めた方が捉えられやすいという特徴があります。

経絡は術者のちょっとした思いでも十分変化します。そんなものがあるはずがないという意識を持ってしまえばすぐに消失してしまいます。絶対にあると言うのでもなく、ないというのでもなく、経絡という知識だけ使って素直に身体を観察することができないと経絡を触ることはできません。

物理的な「物」としての考え方しかできない人は、経絡を捉えることはできません。物質の捉え方とエネルギーの捉え方は違って当たり前だからです。そこを履き違えてしまうと一生、経絡を触ることはできません。

経絡を触ることができると何が違うのか?

経絡は、主に身体の縦方向に流れ、内臓や筋肉等の各器官と密接に関係しあっています。経絡を利用することで、内臓や筋肉、血管、神経、リンパと言った物理的に存在するものが、エネルギーとしての経絡でつながっているというのを認められます。

例えば膝関節が痛いと言う人の膝を調べても、物理的には、全く悪くないのに痛みがあると言う方も臨床上はよく見かけると思います。整形外科でレントゲンやMRIを使って科学的に観察したけど、全く問題はないと言われたが痛みが強いと言うような場合です。

もし、そういう判断をされたら我々に打つ手はあるでしょうか?

他の関節との関連を見ていくのも一つですが、経絡という全身を縦方向にくまなく流れているエネルギーの経路を利用することで、その根本的な原因を探り当てることができるということです。

関節の痛みであっても内臓と関係し合いながら痛みが起こっていると言うことを経絡というエネルギーの流れから紐解くことができる訳です。

胃の調子が悪くなって膝の痛みが出ている場合、お腹に手を触れると膝の動きが良くなったりします。その場合、腹部の胃経は活性化し、膝周囲の胃経は活性化していないというような場合もあります。

この方法で経絡を探る練習をしていると同じ胃の経絡なのに活性化している場所とそうでない場所があることにも気づくはずです。

目的は、教科書に書いてある図を確認することではなく生きた経絡を実際に手で触れることです。そうすることで、経絡の存在が更に信頼性の高いものになっていきます。

目に見えるものばかりを対象にするのではなく、エネルギーの流れとしての経絡を手で触診することで、より高度な治療が可能となってくるということです。

そして、微量な刺激量のみで、全身に影響する様子もわかるようになります。その為にもこのような練習を重ねることで経絡を明確にしていく訓練が必要です。

また、経絡がわかるようになると実際の解剖を鮮明に想像することが可能となってきます。エネルギーの流れがわかれば、物質の状態を把握することは容易になってきます。

あると言えばあり、ないと言えばないと言われる経絡ですが、あると思えるのも、ないと思うのも、術者の考え方の幅や経験によって大きな違いがある現象だと言えると思います。

 

御薗治療院 中村秀一 omisono@gmail.com
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