介護政策・介護予防 最新動向レポート 10月

【介護・予防ニュース】2026年10月|月別まとめ

今月の概要(2026年10月)
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・2027年度介護報酬改定に向け、通所系、訪問系、地域密着型、特定施設など、サービス別の第2巡目の検討が進みました。

・介護保険部会では、給付と負担、要介護認定、ケアマネジャー法定研修の見直しが議題となりました。

・介護予防では、対話型AIロボットを用いて運動・栄養行動の継続を支援する研究が開始されました。

・フレイル対策は、健康情報を示すだけでなく、個人に応じた声かけで行動変容を支える段階へ進みつつあります。

・サルコペニアでは、ビフィズス菌由来成分、口腔がん、低骨格筋量に関する臨床研究が公表されました。

・ただし、食品やAIロボットの有効性は確立しておらず、研究計画・探索的結果として慎重に扱う必要があります。

・今月は、制度改定と研究の双方で「個別化」「多職種連携」「データ活用」が共通するキーワードとなりました。

①介護保険改正|今月のまとめ
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【今月の主な動き】
・通所介護、通所リハビリ、短期入所等の改定論点を検討
・訪問介護、訪問看護、訪問リハビリ、居宅介護支援等を検討
・地域密着型サービス、特定施設、登録施設介護支援を検討
・給付と負担、要介護認定の見直しを議論
・ケアマネジャー法定研修の見直し状況を報告

【要約】
〔事実〕
厚生労働省の介護給付費分科会は、10月9日に定期巡回、小規模多機能、看護小規模多機能、グループホーム、14日に通所・短期入所系、19日に訪問系・居宅介護支援、28日に特定施設、登録施設介護支援、地域区分を検討しました。

28日には、医療機関との連携や離島・中山間地域等の加算に関する2026年度調査の速報値も示されました。現時点では審議段階であり、報酬単位や算定要件の最終決定ではありません。


10月26日の介護保険部会では、制度の持続可能性に関する給付と負担、要介護認定、介護支援専門員法定研修の見直しが議題となりました。
参考 厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/

〔実務上の解釈・示唆〕
次期改定は、各サービスの機能と役割分担を改めて整理する方向です。通所介護と通所リハビリ、訪問介護と訪問看護、居宅介護支援と施設・住まいの関係など、サービス間連携を説明できる記録が重要になります。事業所は審議資料を「決定事項」と誤認せず、自事業所に関係する論点を抽出して準備する必要があります。

【実務への影響】
・介護事業者への影響:
サービスの目的、専門性、成果、他職種との役割分担を、計画書と記録で示せる体制が必要です。

・ケアマネジャーへの影響:
法定研修の見直しに加え、居宅介護支援や高齢者向け住まいに関する制度変更を継続して確認する必要があります。

・利用者・家族への影響:
給付と負担に関する議論は継続中です。利用者負担等が正式決定したとの誤解を生まない説明が重要です。

・自治体・地域包括支援センターへの影響:
要介護認定の迅速化・適正化、地域区分、サービス不足地域への支援策が注目されます。

【今月確認した主な情報元】
・厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会」
開催日:2026年10月9日、14日、19日、28日
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126698_00022.html

・厚生労働省「第272回社会保障審議会介護給付費分科会資料」
公表・開催日:2026年10月28日
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_76726.html

・厚生労働省「社会保障審議会介護保険部会」
第137回開催日:2026年10月26日
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126734.html

【翌月以降の注目点】
・サービス別論点が具体的な報酬・基準案へどう反映されるか
・給付と負担、要介護認定に関する制度見直しの方向
・ケアマネジャー法定研修の内容・時間・受講方法の見直し

 

②介護予防|今月のまとめ
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【今月の主な動き】
・対話型AIロボットを用いた健康行動支援研究を開始
・活動量・食事データと個別の声かけを組み合わせる計画
・地域在住高齢者200人を対象とする6か月間の比較試験を予定
・深部体温リズムに着目したフレイル介入研究を紹介
・デジタル技術の社会実装と利用継続が課題に

【要約】
〔事実〕
今月は、介護予防の全国的な新ガイドラインなど、大きな制度変更は確認できませんでした。参考情報として、将来の介護予防事業への応用が期待される研究動向を整理します。

国立長寿医療研究センターは10月20日、AIコーチを搭載した対話型ロボットによる健康行動支援研究の開始を発表しました。ウェアラブル端末の活動量やアプリの食事・行動情報を使い、利用者に合わせて称賛、励まし、具体的な行動を提案します。

プレフレイルまたはサルコペニアが疑われる地域在住高齢者200人を対象に、6か月間のランダム化比較試験を行う計画です。現段階は研究開始であり、介護予防効果が確認されたものではありません。
参考 国立長寿医療研究センター:https://www.ncgg.go.jp/

〔実務上の解釈・示唆〕
介護予防では、測定結果を提示するだけでなく、その日の状態に応じた声かけ、達成の承認、次の具体的行動まで示すことが継続の鍵になります。これはAIに限らず、通いの場や個別機能訓練でも応用できます。一方、操作困難、通信環境、個人情報、誤った助言への対応などを含む運用設計が不可欠です。

【実務への活用】
・地域支援事業で活用できる点:
参加回数や歩数の記録に加え、結果に応じた個別の声かけを組み込みます。

・高齢者本人に伝えるべき点:
AI機器は医療職の診断に代わるものではなく、日々の健康行動を支える補助的な手段です。

・介護現場で応用できる点:
「運動してください」ではなく、「昼食後に椅子から5回立つ」など具体的な行動を提案します。

・他地域で参考にできる点:
導入台数だけでなく、継続率、活動量、栄養行動、身体機能、利用者満足度を評価します。

【今月確認した主な情報元】
・国立長寿医療研究センター「フレイル・サルコペニア予防を見据え、対話型AIロボットによる健康行動支援の共同研究を開始」
公表日:2026年10月20日
https://www.ncgg.go.jp/ri/report/20261001.html
・国立長寿医療研究センター「深部体温リズムに着目したフレイル介入法の確立を目指して」
開催日:2026年10月15日
https://www.ncgg.go.jp/ri/seminar/gero/20261005.html
・厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業の関係規程等」
確認日:2026年10月29日
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000184585.html

【翌月以降の注目点】
・AIロボット支援による行動変容と身体機能への効果
・デジタル機器を利用しにくい高齢者への支援方法
・健康データ、対話記録、個人情報の管理ルール

 

③フレイル|今月のまとめ
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【今月の主な動き】
・対話型AIによるフレイル予防研究を開始
・プレフレイル高齢者を含む比較試験を計画
・活動量・栄養・身体機能を一体的に評価
・深部体温リズムに着目した介入研究を紹介
・多職種連携における薬剤師の役割を発信

【要約】
〔事実〕
国立長寿医療研究センターが開始した研究では、プレフレイルまたはサルコペニアが疑われる高齢者を対象に、対話型AIロボットが身体活動や食事に関する個別の提案を行います。研究では、健康行動の改善・継続だけでなく、身体機能やフレイル関連指標も評価される計画です。まだ介入効果は公表されていないため、「AIでフレイルが改善する」と結論づけることはできません。

また、国立長寿医療研究センターでは10月15日、深部体温リズムに着目したフレイル介入法に関する研究者向けセミナーが開催されました。10月12日には、フレイル・サルコペニア予防における多職種協働と薬剤師の役割に関する講演も行われています。これらは、運動・栄養だけでなく、睡眠・生活リズム・服薬を含む包括的評価の重要性を示す動きです。

〔実務上の解釈・示唆〕
フレイル支援では、運動回数だけでなく「なぜ続けられないのか」を確認する必要があります。疼痛、眠気、夜間不眠、多剤服用、食欲低下、孤立、機器操作への不安など、行動を妨げる要因を多職種で整理することが重要です。

【実務への活用】
・早期発見に役立つ視点:
体重、握力、歩行、疲労、活動量に加え、睡眠・生活リズム、服薬、外出頻度を確認します。

・運動・栄養・口腔・社会参加との関係:
一つの領域だけを改善するのではなく、生活の悪循環を見つけて複数領域を支援します。

・地域や介護現場で取り入れられる点:
目標を小さな行動に分解し、実施結果を次回の支援内容へ反映します。

・高齢者本人・家族への伝え方:
「機械に管理される」のではなく、「本人が続けたい生活を支える道具」と説明します。

【今月確認した主な情報元】
・国立長寿医療研究センター「対話型AIロボットによる健康行動支援の共同研究」
公表日:2026年10月20日
https://www.ncgg.go.jp/ri/report/20261001.html
・国立長寿医療研究センター「深部体温リズムに着目したフレイル介入法」
開催日:2026年10月15日
https://www.ncgg.go.jp/ri/seminar/gero/20261005.html
・国立長寿医療研究センター「フレイル・サルコペニア予防における多職種協働と薬剤師の役割」
講演日:2026年10月12日/掲載日:10月26日
https://www.ncgg.go.jp/hospital/news/20261021.html

【翌月以降の注目点】
・AIによる個別支援が行動の継続に与える効果
・睡眠・体温リズムとフレイルとの関連
・薬剤師を含む多職種フレイル支援モデルの普及

④サルコペニア|今月のまとめ
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【今月の主な動き】
・加熱殺菌ビフィズス菌を用いた小規模比較試験を公表
・主要評価項目の膝伸展筋力では改善を確認できず
・探索的解析で一部の筋量関連指標に差を確認
・口腔がん患者の低骨格筋量と予後との関連を報告
・対話型AIロボットによる予防研究を開始

【要約】
〔事実〕
順天堂大学の研究グループは10月7日、サルコペニア患者50人を対象に、加熱殺菌ビフィズス菌を24週間摂取する無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を公表しました。主要評価項目である膝伸展筋力の改善は確認されず、歩行速度、握力、DXA法による筋肉量にも群間差はありませんでした。

一方、探索的解析では、BIA法による骨格筋量指数などの低下が抑制された可能性が示されました。小規模な試験であり、有効性を証明した結果ではありません。

広島大学は、口腔がん患者において、治療前の低骨格筋量と高炎症・低免疫状態が予後に影響する可能性を報告しました。これは、疾患や栄養障害に伴う二次性サルコペニアを早期に把握する重要性を示す研究です。
広島大学:https://www.hiroshima-u.ac.jp/

〔実務上の解釈・示唆〕
ビフィズス菌を摂取すれば筋力が改善すると解釈することはできません。サルコペニア対策の基本は、適切な評価、レジスタンス運動、十分なエネルギー・たんぱく質、口腔・嚥下支援、基礎疾患の管理です。がんや慢性疾患がある人では、体重だけでなく筋量・筋力の変化を治療前から確認する必要があります。

【実務への活用】
・転倒予防への示唆:
筋肉量だけでなく、握力、膝伸展、椅子立ち上がり、歩行、転倒歴を確認します。

・栄養・運動支援への示唆:
特定食品に依存せず、総摂取量、たんぱく質、ビタミンD、口腔・嚥下機能を総合的に評価します。

・介護予防・リハビリ現場で活用できる点:
疾患や入院に伴う急な体重減少、食事量低下、活動量低下を見逃さないようにします。

・フレイル予防と関連づけて考える点:
低筋量を、栄養、炎症、疾患、服薬、社会参加を含む全身状態の一部として捉えます。

【今月確認した主な情報元】
・順天堂大学「加熱殺菌ビフィズス菌の摂取がサルコペニア患者の筋量関連指標に影響を及ぼす可能性」
公表日:2026年10月7日/論文掲載日:9月20日
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000910.000021495.html

・広島大学「治療前の骨格筋量と炎症・免疫指標が口腔癌患者の予後に影響」
論文掲載日:2026年10月1日
https://www.hiroshima-u.ac.jp/research/news/100775

・国立長寿医療研究センター「対話型AIロボットによる健康行動支援の共同研究」
公表日:2026年10月20日
https://www.ncgg.go.jp/ri/report/20261001.html

【翌月以降の注目点】
・ビフィズス菌由来成分に関する大規模臨床試験
・がん患者に対する治療前からの栄養・筋機能評価
・新しい診断基準と介護現場で使える簡便な評価方法

今月の総括
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2026年10月は、2027年度介護報酬改定のサービス別検討が急速に進んだ月でした。通所、訪問、地域密着型、特定施設、居宅介護支援など、幅広いサービスが対象となっています。制度改定はまだ審議段階であり、正式決定と検討資料を区別して受け止める必要があります。

介護予防・フレイル分野では、AIによる個別の声かけと行動継続支援が研究テーマとなりました。サルコペニア分野では、腸と筋肉の関係や、疾患に伴う筋量低下に関する臨床研究が進んでいます。

一方、特定食品やデジタル機器の効果を過大に受け止めないことが重要です。
現場では、運動・栄養・口腔・服薬・疾患・社会参加を統合し、本人の生活目標に結びつける支援が求められます。

【今月の重要ポイント】
・2027年度介護報酬改定はサービス別の具体的検討段階へ進展
・給付と負担、要介護認定、ケアマネ研修の見直しを継続
・AIを使った介護予防は有効性を検証する研究段階
・サルコペニア対策は筋量だけでなく筋力・身体機能を評価
・研究結果と広告的な健康情報を区別して説明することが重要

【翌月以降に追うべき論点】
・2027年度介護報酬改定の報酬・人員・算定要件案
・給付と負担の見直しが利用者・家族へ与える影響
・要介護認定とケアマネジャー法定研修の具体的変更
・AI介護予防の効果、安全性、個人情報保護
・サルコペニアの診断・運動・栄養支援に関する新たな学会動向