介護政策・介護予防 最新動向レポート 9月

【介護・予防ニュース】2026年9月|月別まとめ

今月の概要
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2026年9月は、2027年度(令和9年度)介護報酬改定に向けた論点整理が大きく進みました。
認知症、医療・介護連携、LIFE、口腔・栄養の一体的取組などが審議され、関係団体との意見交換を経て、9月30日に改定の「基本的な視点(案)」が議題となりました。
介護予防では、高齢者の保健事業と介護予防を一体的に進める国・自治体の取組が改めて前面に出ています。

フレイル研究では、不眠と社会的フレイルの関連、電力使用データによる生活変化の把握など、日常生活情報を早期発見に活用する動きがみられました。
サルコペニア分野では、地域診療所における多職種介入や、疾患を持つ人への低負荷運動に関する臨床研究が登録・更新されました。
ただし、制度改定は検討段階、研究は結果未確定または観察研究を含むため、現場では確定事項と可能性を分けて扱う必要があります。


①介護保険改正|今月のまとめ
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【今月の主な動き】
・9月3日、認知症、医療・介護連携、人生の最終段階、LIFE、口腔・栄養、多床室の室料負担を審議
・9月10日、14日、16日、介護関係団体との意見交換会を3回開催
・9月30日、2027年度介護報酬改定の「基本的な視点(案)」を審議
・9月18日、地域医療介護総合確保基金(介護分)の2026年度第1回内示を公表
・9月30日、2025年度介護給付費等実態統計の概況を公表

【要約】
〈事実〉
厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会は、9月3日に認知症への対応力、医療・介護連携、人生の最終段階における支援、科学的介護情報システム(LIFE)、口腔・栄養・リハビリテーション等の一体的取組、多床室の室料負担を審議しました。続いて9月10日、14日、16日に関係団体との意見交換を行い、9月30日には2027年度介護報酬改定の「基本的な視点(案)」を議題としました。現時点では審議資料・案の段階で、個別の報酬単価や加算要件が確定したわけではありません。また、厚生労働省は9月18日に地域医療介護総合確保基金(介護分)の内示、9月30日に介護給付費等実態統計の概況を公表しました。

〈実務上の解釈・示唆〉
次期改定では、認知症対応、医療・介護連携、看取り、LIFEデータ活用、口腔・栄養・機能訓練の連携が、個別施策ではなく「ケアの質を支える一連の仕組み」として整理される可能性があります。事業所は改定内容を先取りして断定するのではなく、現在のアセスメント、情報共有、計画・記録、LIFE入力、口腔・栄養リスクの把握、看取り方針の確認にどのような抜けがあるかを点検しておくことが重要です。

【実務への影響】
・介護事業者への影響:LIFEへの入力状況だけでなく、収集したデータを個別ケアや機能訓練の見直しに利用できているか確認が必要です。

・ケアマネジャーへの影響:認知症、口腔、栄養、リハビリ、看取りの情報をケアプラン上で関連づける役割が一層重要になります。

・利用者・家族への影響:人生の最終段階を含む支援方針について、本人の意思を早期から確認し、家族・医療・介護で共有する必要があります。

・自治体・地域包括支援センターへの影響:基金の内示内容や地域資源の整備状況を確認し、地域のサービス不足と人材確保策を結びつけることが求められます。

【今月確認した主な情報元】
・厚生労働省「社会保障審議会(介護給付費分科会)」/2026年9月3日、10日、14日、16日、30日
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126698_00022.html
・厚生労働省「介護・高齢者福祉分野のトピックス」/2026年9月10日、18日、29日、30日
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics_150875_155.html
・厚生労働省「令和8年度介護報酬改定について」/2026年度資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00073.html

【翌月以降の注目点】
・2027年度介護報酬改定の基本的な視点と重点分野
・LIFE、口腔・栄養、リハビリの評価要件の見直し
・関係団体の要望が報酬・人員・運営基準にどう反映されるか


②介護予防|今月のまとめ
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【今月の主な動き】
・9月10日、厚生労働省が高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の進捗を検討
・複数自治体が、医療専門職による個別支援と通いの場等の集団支援を案内・更新
・京都市が2026年度介護予防ケアマネジメントの手引・様式を9月9日に掲載
・通いの場への参加を促す「ナッジ」の効果検証研究が9月10日に更新
・広島県が通いの場、栄養・口腔、自立支援型地域ケア会議の情報を9月24日に掲載

【要約】
〈事実〉
厚生労働省は9月10日、高齢者の保健事業のあり方検討ワーキンググループを開催し、保健事業と介護予防の一体的実施の進捗を確認しました。青梅市、三鷹市、君津市、沼津市なども9月に関連ページを更新し、健診・医療・介護情報を踏まえた個別支援と、通いの場等での集団的支援を示しています。京都市は介護予防ケアマネジメントの手引と様式を掲載しました。また、通いの場への参加を促す情報提示の工夫、いわゆる「ナッジ」の効果を検証する研究も更新されています。

〈実務上の解釈・示唆〉
介護予防は、元気な高齢者向け教室だけでなく、健診未受診、治療中断、低栄養、口腔機能低下、閉じこもりなどのリスクを持つ人を把握し、必要な支援へつなぐ方向が明確です。地域包括支援センター、保健部門、後期高齢者医療、医療機関、通いの場が情報と役割を分断しないことが重要です。参加勧奨では、一斉周知だけでなく、本人の関心や生活課題に合わせた声かけが求められます。

【実務への活用】
・地域支援事業で活用できる点:健診・医療・介護データから対象者を把握し、個別支援と通いの場をつなげます。
・高齢者本人に伝えるべき点:介護予防は運動だけでなく、食事、口腔、睡眠、服薬、社会参加を含むことを説明します。
・介護現場で応用できる点:体重、食欲、外出、会話、受診状況の変化を記録し、多職種で共有します。
・他地域で参考にできる点:自治体内の保健・介護部門を横断する担当者会議と共通様式の整備が有効です。

【実務への活用】
・地域支援事業で活用できる点:健診・医療・介護データから対象者を把握し、個別支援と通いの場をつなげます。
・高齢者本人に伝えるべき点:介護予防は運動だけでなく、食事、口腔、睡眠、服薬、社会参加を含むことを説明します。
・介護現場で応用できる点:体重、食欲、外出、会話、受診状況の変化を記録し、多職種で共有します。
・他地域で参考にできる点:自治体内の保健・介護部門を横断する担当者会議と共通様式の整備が有効です。

【今月確認した主な情報元】
・厚生労働省「高齢者の保健事業のあり方検討ワーキンググループ」/2026年9月10日
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken_369143.html
・京都市「介護予防ケアマネジメント」/2026年9月9日
https://www.city.kyoto.lg.jp/menu3/category/42-12-6-0-0-0-0-0-0-0.html
・広島県「介護予防」/2026年9月24日
https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/kaigoyobou/index.html
・青梅市「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施事業」/2026年9月1日
https://www.city.ome.tokyo.jp/soshiki/18/123594.html
・UMIN臨床試験登録「フレイル予防のための通いの場への参加を促進するナッジの効果検証」/2026年9月10日更新
https://center6.umin.ac.jp/cgi-open-bin/ctr/ctr_view.cgi?recptno=R000071971

【翌月以降の注目点】
・一体的実施の進捗評価と自治体間の実施格差
・ハイリスク者を通いの場・医療・栄養・口腔支援へつなぐ方法
・参加勧奨の工夫が実際の参加継続や健康状態に与える効果

 

③フレイル|今月のまとめ
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【今月の主な動き】
・75歳以上の在宅高齢者2,091人を対象とした研究で、不眠症状と社会的フレイルの関連を報告
・独居高齢者14人の研究で、冬季の電力使用データ由来フレイルリスクと生活範囲・健康関連QOLの関連を報告
・上板町と徳島文理大学が運動・口腔・栄養・福祉・音楽を組み合わせた体験型事業を実施
・地域内科診療所でフレイル・サルコペニアと多職種介入を検討する臨床研究が登録
・通いの場への参加促進を検証する研究が更新

【要約】
〈事実〉
大阪公立大学は9月18日、75歳以上の在宅高齢者2,091人を対象とする横断研究を公表しました。不眠症状のある人は社会的フレイルに該当しやすい関連が示されましたが、横断研究のため因果関係は確定していません。同大学は9月2日、独居高齢者14人を対象に、家庭の電力使用データから算出したフレイルリスクと生活範囲・健康関連QOLとの関連を季節別に検討した研究も公表しました。冬季に関連を支持する結果が得られましたが、対象者が少なく補完的な知見です。地域実践では、上板町と徳島文理大学が、足腰、口腔、栄養、交流、音楽を組み合わせたフレイル予防事業を行いました。

〈実務上の解釈・示唆〉
フレイルの早期発見では、握力や歩行だけでなく、「眠れているか」「外出範囲が狭くなっていないか」「人との会話や役割が減っていないか」が重要です。電力使用などの生活データは見守りを補う可能性がありますが、単独で判定せず、本人への確認と身体・心理・社会面の評価を組み合わせる必要があります。地域事業は運動だけに偏らず、口腔・栄養・交流を同じ場で扱う設計が参考になります。

【実務への活用】
・早期発見に役立つ視点:睡眠、外出、会話、役割、生活範囲の変化を定期面談に加えます。
・運動・栄養・口腔・社会参加との関係:一領域の低下が他領域を悪化させるため、複合的に評価します。
・地域や介護現場で取り入れられる点:足腰・口腔・食事・交流を一度に確認できるイベントや教室を設計します。
・高齢者本人・家族への伝え方:「眠れない」「出かけなくなった」こともフレイルのサインになり得ると伝えます。

【今月確認した主な情報元】
・大阪公立大学「不眠症状のある高齢者は社会的フレイルに該当しやすい」/2026年9月18日
https://www.omu.ac.jp/info/research_news/entry-26002.html
・大阪公立大学「電力使用データに基づくフレイルリスク」/2026年9月2日
https://www.omu.ac.jp/info/research_news/entry-25658.html
・徳島文理大学「STOPフレイル with
徳島文理大学」/2026年9月9日公表、9月12日開催
https://www.bunri-u.ac.jp/info/2026090900042/
・厚生労働省
臨床研究情報ポータル「地域内科クリニックにおける高齢者の筋肉量・身体機能の実態調査と多職種による生活習慣改善効果の検討」/2026年9月5日登録、9月6日更新
https://rctportal.mhlw.go.jp/detail/um?trial_id=UMIN000062829

【翌月以降の注目点】
・不眠と社会的フレイルの因果関係を確認する縦断研究
・生活データを用いる見守りの精度、同意、個人情報保護
・複合型フレイル予防事業の参加継続率と健康効果

 

④サルコペニア|今月のまとめ
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【今月の主な動き】
・地域内科診療所で、筋肉量・身体機能と多職種生活習慣介入を検討する研究が9月5日に登録
・理学療法士の運動指導と管理栄養士の栄養指導を組み合わせる研究設計が提示
・関節リウマチ患者への血流制限下低負荷運動研究が9月24日に更新
・同研究では筋力、歩行、立ち上がり、筋量、SARC-F、QOL、安全性等を評価予定
・今月は、国内の新しい診断基準・診療ガイドラインの大規模改訂は確認できず

【要約】
〈事実〉
9月5日、地域内科診療所の高齢患者を対象に、筋肉量・身体機能の実態と多職種による生活習慣改善効果を検討する臨床研究が登録されました。理学療法士によるレジスタンス運動等と、管理栄養士による個別栄養指導を組み合わせ、SPPB(立位・歩行・立ち上がりから下肢機能をみる評価)などを追跡する計画です。結果はまだ出ていません。また、関節リウマチ患者100人を目標とする、血流制限下の低負荷運動研究が9月24日に更新されました。スクワット、かかと上げ、片脚立位等を用い、筋力、歩行速度、立ち上がり、筋量、フレイル、QOL、安全性を評価する計画です。

〈実務上の解釈・示唆〉
今月の研究動向は、サルコペニア対策を「筋肉量だけ」ではなく、筋力、身体機能、疾病、栄養、生活習慣を含めて評価する方向を示しています。低負荷運動は疾患や体力の制約がある人への可能性がありますが、血流制限運動は専門的な圧設定と安全管理が必要で、一般の介護現場が研究条件をそのまま導入すべきものではありません。現場では、既往歴、疼痛、腎機能、栄養状態を確認し、医師・理学療法士・管理栄養士等と連携することが基本です。

【実務への活用】
・転倒予防への示唆:歩行速度、5回立ち上がり、バランス、転倒歴を継続評価します。
・栄養・運動支援への示唆:運動と食事を別々にせず、体重変化・摂取量・疾患を含めて計画します。
・介護予防・リハビリ現場で活用できる点:SARC-F等の簡易質問と実測評価を組み合わせ、変化を追います。
・フレイル予防と関連づけて考える点:筋力低下の背景に、低栄養、炎症、疼痛、睡眠、活動低下、孤立がないか確認します。

【今月確認した主な情報元】
・厚生労働省
臨床研究情報ポータル「地域内科クリニックにおける高齢者の筋肉量・身体機能の実態調査と多職種による生活習慣改善効果の検討」/2026年9月5日登録、9月6日更新
https://rctportal.mhlw.go.jp/detail/um?trial_id=UMIN000062829
・厚生労働省
臨床研究情報ポータル「関節リウマチ患者における血流制限下低負荷運動によるフレイル・サルコペニア・ロコモティブシンドローム予防効果の検証」/2026年9月24日更新
https://rctportal.mhlw.go.jp/s/detail/um?trial_id=jRCT1042250196
・お茶の水女子大学「ヒトiPS細胞を用いた食と健康寿命のジェンダード・イノベーション」/2026年9月16日
https://igi.cf.ocha.ac.jp/news/6138/

【翌月以降の注目点】
・多職種介入研究の開始状況と、その後の有効性・安全性の結果
・疾患を持つ高齢者に対する低負荷運動の適応と安全管理
・筋量だけでなく筋力・身体機能を重視する評価の普及

 

今月の総括
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9月は、2027年度介護報酬改定が論点別の検討から基本的な方向性の整理へ進んだ月でした。
介護現場では、認知症、医療連携、看取り、LIFE、口腔・栄養・機能訓練を別々に扱わず、一体的な支援体制として点検する必要があります。
介護予防では、保健・医療・介護データを活用し、リスクのある高齢者を早期に把握する動きが続いています。

フレイル研究は、睡眠、社会参加、生活範囲、日常の生活データへ対象を広げています。
サルコペニア研究では、運動と栄養を組み合わせ、疾患を持つ高齢者にも対応する方向がみられます。
一方、観察研究や開始前の臨床研究を、確立済みの介入効果として扱わない慎重さが必要です。

【今月の重要ポイント】
・2027年度介護報酬改定の「基本的な視点(案)」が9月30日に審議されました。
・認知症、医療介護連携、LIFE、口腔・栄養の一体的取組が主要論点です。
・高齢者保健と介護予防の一体的実施が、国・自治体の共通課題となっています。
・睡眠や外出・交流の変化もフレイルの早期発見に役立つ可能性があります。
・サルコペニア対策は、運動・栄養・疾病管理・安全評価を組み合わせることが重要です。

【翌月以降に追うべき論点】
・2027年度介護報酬改定の具体的な評価項目、単位、算定要件
・LIFEと口腔・栄養・リハビリテーション情報の連携
・介護予防の一体的実施における対象者把握と支援後の評価
・生活データを用いたフレイル把握の実用性と個人情報保護
・疾患別サルコペニア介入の安全性と実装可能性