【メディカル・ハイドロバッグの鑑別、整復法】
前回に続き、メディカル・ハイドロバッグを使用してどのように内部を感じ取るのかを解説します。
まず、髄核性レバーアームR-beの場合、髄核は左後方に移動し第7頸椎の椎間関節の左側が浮上します。
この現象は、ハイドロバッグを使用すれば容易に観察できます。
また、ハイドロバッグの圧力を高めると髄核は中央部に押し戻されるために、左の椎弓が沈む動きが観察されます。
そのまま、力を加えると整復にもつながります。
ハイドロバッグでの診断はそのまま整復にも繋がります。
つぎは
頚胸移行部第一肋骨支点性レバーアーム(後上方浮上型)以下第一肋骨浮上型と記述
頚胸移行部第一肋骨支点性レバーアーム(前下方沈下型)以下第一肋骨沈下型と記述
について解説します。
まず、浮上型R-beについて解説します。
まず左の肋骨頭関節の肋骨頭が何らかの原因で後上方に変位します、第1胸椎は不安定化して椎体の左側が下方へ沈下します。
下方の沈下により対側の鈎状突起関節支点と、対側に肋骨頭支点の2支点を作ります。
対側の肋骨頭支点が真の支点となりますが、二支点となるために頸椎を右方向に側屈した場合短く鋭角な張り感が出現します。
髄核型のなだらかで伸びるような曲線とは全く違うラインを示します。
また、肋骨頭支点は鈎状突起関節支点より外方に存在するために、より大きなレバーアームが作用します。
メディカル・ハイドロバッグを使用した第一肋骨浮上型と髄核型との鑑別法です。
第7頸椎の椎間関節直上を押圧すると、髄核性レバーアーム現象と同様に左側の椎弓
浮上を感じます、しかしそのまま押圧しても沈下は感じられず硬質感を感じます。
これは、このタイプは椎体の沈下によってレバーアーム現象が出現しているため髄核性レバーアームの時のような髄核運動に起因した反応がおこらないためです。
次に押圧する場所を変えて、第一胸椎肋横突関節の部分にハイドロバッグを当てて観察します、右に比べて左の肋骨頭が後上方に変位しているために左の位置を高く感じます。
また、押圧した状態で患者に深呼吸させると健側より先に患側の肋骨が大きく浮上する現象が観察されます。
この浮上をハイドロバッグで抑止すると整復に繋がり、数回の呼吸の内に整復が可能です。
次に沈下型R-beです。
左肋骨頭が前下方に変位します、浮上型と同様に第1胸椎は不安定化して椎体の左側が下方へ沈下します。
下方の沈下により鈎状突起関節支点と共に対側に肋骨頭支点を作ります。
ラインも同様に、なだらかなものとならず、短い張りが前方や側方に出現します。
鑑別法です。
第7頸椎の椎間関節直上を押圧すると、に左側の椎弓の浮上を感じ、しかしそのまま押圧しても変化が感じられず硬質感を感じるまでは、浮上型R-beと同様です。
しかし、浮上型R-beとは違い第一胸椎肋横突関節の部分にハイドロバッグを当てて観察しても、肋骨位置の浮上は感じられず、呼吸に伴う肋骨頭の浮上現象も感知できません。
以下のような過程で、関節の動きからどのタイプの障害か判定が可能です。
第一肋骨沈下型ですが
前斜角筋は頚椎3番から6番の横突起から、第一肋骨の内側に付きます、中斜角筋は頚椎2番から7番の横突起後方から第一肋骨の内側に付着しています。
両者とも第一肋骨に付着しているわけですから第一肋骨の下前方への変位は、前斜角筋、中斜角筋の過緊張を誘発することは容易に予測できます。
従って、斜角筋症候群と診断されるものにこのタイプは非常に多いのですが、多くの場合第一肋骨の下方変位が見逃され治癒が遷延していることが多く感じます。
また、第一肋骨浮上型、第一肋骨沈下型ともに皮膚の張力亢進が大きな部分に、湿疹ができていることが有ります。
参考文献
構造医学の原理 吉田観持著 エンタプライズ社