竹内整骨院 院長 竹内 廣尚
【タイトル】
『いろいろな治療法』第1回
1回目なので何から始めようと考えました。
初心にかえって、人間の動作から姿勢、治療法等を書いてみます。それを読んだ皆様の意見をもらいつつ、私の教わった治療法を分析していただき、何故そうなるか教えてほしいと思います。
1、立位姿勢からの動き(目をつぶって立ってもらいその動きを観察。
①まっすぐ立って眼を閉じると身体が揺れる
イ)の前後に揺れ動く人は頭で考え納得しないと信じないタイプで、しわ寄せが頭に来る人です。足裏の第2~4指の付け根の皮膚が硬くなっています。頭がいいと言う訳ではありませんよ。その人なりの脳の発達で理解いたします。また、この人は一番詐欺に引っ掛かりやすいタイプです。(頭脳型)
①まっすぐ立って眼を閉じると身体が揺れる
ロ)の左右に揺れ動く人は消化器タイプといって何か心配事とかあるとすぐに食べられなくなったり、頭にくることがあったりするとやけ食いをする人です。そのように消化器に負担のかかる人です。(消化器型)
①まっすぐ立って眼を閉じると身体が揺れる
ハ)の前後左右に回旋して揺れ動く人は出る、出ないタイプの人で便秘したり下痢をしたり、お小水が近かったり、また熱や汗が出たり、出なかったりするタイプの人です。大腸とか泌尿器系統に負担のかかるタイプです。(泌尿器型)
イ) ロ) ハ)のタイプは本来このような性格を持っていますが、身体の動きは川の水が流れるように少しずつ変化して動いていれば病気にならないのです。
この世の中は3次元、動きは、前後の動きは(左右軸)、左右の動きは(前後軸)、回旋の動きは(上下軸)そこへ均整法の治療家、亀井進先生は呼吸や胃の動き、大腸の動きを開く、閉じると考え開閉型を加えました。例えば前後に動くとすれば、片方が狭まり、片方は広がる、左右も左に傾けば左は狭まり、右は広がる。
同じように、回旋も同じです。そこへ開閉型を入れて、前後・左右・回旋・開閉の椎骨を4つ飛びにした、前後型・左右型・回旋型・開閉型の治療法を考え、筋肉レベルの治療法としました。椎骨を5飛びにした治療法は内臓レベルの治療法と私は教えてもらいました。
・仁神術の治療家、加藤春樹先生は、内臓レベルの治療は、椎骨は5飛びで、頭脳型に当てはまる経絡は、胃経(12番)だけで、胃の弱い人は頭脳が疲れやすいと話されていました。
〇筋肉レベルの、椎骨の説明は亀井先生から教えてもらっていません。私は考えました。環椎は後頭骨の下にあり、動きは左右に動く、第1頸椎と第2頸椎(軸椎)の関節は回旋、第3頸椎はここでちょっと置く。第4頸椎は頸を前後に動かす時中心になり、頸を後屈すると一番奥にまで入ります、前後型としました。
第3頸椎から4つ飛びに椎骨をみると、頸椎3・頸椎7・胸椎4(厥陰兪・心包経)・胸椎8・胸椎12(胃兪)・腰椎4(大腸兪)・仙骨3となり、心包経・胃経・大腸経の動きは蠕動運動で開く閉じるの動きです。これを開閉型と考えると前後型・左右型・回旋型・開閉型とまとまります。
①奇経治療の中に、伊藤修先生の考えた奇経治療(微弱電流治療)が有ります。伊藤修先生は膝関節と骨盤の圧痛を診て、P1・P2(ポジティブ・陽経)、N1・N2(ネガティブ・陰経)と、診断して、手足に、10円・1円を貼って鍼治療をしておりました。
〇中国から鍼麻酔の治療法が入ってきて、研究会が有り私も参加していました。研究会の終わった後、数日後、伊藤先生から「竹内さん、鍼麻酔の研究会で一緒だった伊藤です、10円・1円を使った面白い治療法が有ります。お友達を誘って勉強会に来ませんか」という電話を頂き、参加したら奇経治療でした。
「奇経治療」
P1は奇経の陽維脈・外関(手)―帯脈・臨泣(足)の組
P2は奇経の督脈・後谿(手)-陽蹻脈・申脈(足)の組
P陽経は手に10円を貼り、足に1円を貼ります。
N1は奇経の陰維脈・内関(手)-衝脈・公孫(足)の組
N2は奇経の任脈・列缺(手)-陰蹻脈・照海(足)の組
N陰経は手に1円を貼り、足に10円を貼ります。
〇この10円。1円を貼る所は下の図の圧痛点を診て決めます。
膝関節のP1圧痛点―膝蓋骨外側―P2の圧痛点―大腿骨外側
膝関節のN1圧痛点―膝蓋側内側―N2圧痛点―大腿骨内側
骨盤圧痛点
P1の圧痛点―後上腸骨棘点―P2の圧痛点腰仙関節
N1の圧痛点―第4~2の腰椎棘突起の際―N2の圧痛点後仙骨孔
〇均整法の動きの椎骨と経絡のツボの組み合わせ。
前後型―C4・Th1・Th5(心兪・心経)・Th9(肝兪・肝経)
L1(三焦兪・三焦経)・L5
左右型―C1・C5・Th2・Th6・Th10(胆兪・胆経)
L2(腎兪・腎経)・S1(小腸兪・小腸経)・S5
回旋型―C2・C6・Th3(肺兪・肺経)・Th7・Th11(脾兪・脾経)・L3・S2(膀胱兪・膀胱経)
開閉型―C3・C7・Th4(厥陰兪・心包経)・Th8
・Th12(胃兪・胃経)・L4(大腸兪・大腸経)・S3
〇12経絡が3本ずつ4つの型式に組み込まれました。
嬉しく思いました。
P1は外関・三焦経(L1)―足は臨泣・胆経(Th10)・これは前後型と左右型の組み合わせ。
P2は後谿・小腸経(S1)-申脈・膀胱経(S2)・これは
左右型と回旋型の組み合わせ。
N1は公孫・脾経(Th11)-内関・心包経(Th4)
回旋型・開閉型の組み合わせ。
N2は照海・腎経(L2)-列缺・肺経(Th3)
左右型と回旋型の組み合わせ。
〇以上を使って治療ができます。つづく。
御園治療院 院長 中村 秀一
【タイトル】
指の動きの研究
概要
手の疾患と言っても五十肩や肘の痛み、手首の痛みや、それに伴う首の痛み等々様々なものがあります。
臨床現場でよくある疾患ですが、意外に悩みの種になっていることも多いのではないかと思います。
エビデンス通りにやったが効果がなかった。新しい技術を習ってきてやってみたが効果がなかった。
というようなことはないでしょうか?
以前は、もっと簡単に治せた気がするのに?
という疑問はないでしょうか?
そんな経験がある先生に言えることがあります。それは、以前よりレベルがあがって患者さんの要求が高度になっているからです。術者のレベルがあがると患者さんの層が変わってきます。同じ疾患に見えて実は全く違う問題が原因になっていたりするのです。それに気づく大きなチャンスなのだと思います。
高度な要求になったということは、何が問題なのかを推測する能力が問われている訳です。今まで通りの見方をしていては、何もはじまりません。同じ見方をしていたら同じ結果にしかたどり着けないのは子供が考えてもわかります。そこで一つの指標をご提案させて頂きます。
それは指先です。指先に注目すると面白い現象が見えてきます。指先の見方をちょっと変えれば正常と異常を簡単に短時間で見分けることができるようになってきます。しかも、検査に力や時間を使う必要はありません。特別な用意も必要ありません。
鍼灸には手足の指先に井穴という重要なツボがあります。鍼灸学的に言えば手足の指先は全身にアクセスすることができる窓とも言える存在です。関節の運動という意味から考えても、そこが重要でないはずがありません。しかし、現代は、それを分離して考えてしまいます。今回お話する内容は一般的な解釈とは違って見えるかもわかりませんが、新しい視点なので、頭を切りかえて読んでみてください。新しい視点になるのは間違いありません。
今回は経絡という観点からではなく、末節骨と中節骨の間で形成されるDIP関節の動きに注目し、その動きによって影響されているPIPやMP関節の関連性について注目してみました。指先の問題を解決すると肩関節や肘の痛み、手首の痛みも含めて改善されることも多くなります。もちろん、指先だけで問題を全て解決できると言っている訳ではありません。しかし、この関係性が理解できると、見落とされていた要因の一つがあきらかになってくるはずです。
鍼灸師は関節が苦手という方は多いと思いますが、関節の動きを理解することで、逆に経絡や穴の見え方も違ってきます。経絡は、静的なものではなく、関節の動きによってもダイナミックに変化しています。その様子も伺うことができるようになってきます。その為にも関節の動きをよく観察し、理解することが重要です。
関節の専門家の方も、物理的な構造だけが重要と考えていると落とし穴にはまります。筋肉が収縮するのは、脳からの指令があってこそです。そして、それを決めるのは、その人の意思でもある訳です。その意思に何らかの問題があれば、筋肉の収縮は異常を来たし関節の構造は正常でも動きは異常になったりします。そういう現象は、少ないと考えるのは人間をよく観察していない証拠とも言えます。
鍼灸師でも、それに気づいている人は少ないのかもわかりません。だから関節が苦手という人がいるのではないかと思います。経絡と関節の垣根を取り払う為にも、関節の動きをよく観察し、異常と正常を見極めることができるようになる必要があると私は考えます。そして経絡の意味を更に深く知ることができれば、古人達が残した遺産を現代に活かせるものになるはずです。
ぜひ読んでいただきたいと思います。
ヘバーデン結節
冒頭にも書いたように指先には井穴と言う穴があり、鍼灸では非常に効果の高い穴とされています。指先に異常が出る症状にヘバーデン結節があります。
ヘバーデン結節は指の第1関節が変形し曲がってしまう原因不明の疾患です。母指にも見られることがありますが、ほとんどは第2指、第3指です。赤く腫れ上がったり曲がったりすることもあり、痛みを伴うこともあります。40代以降の女性に多く、腫れて動きも悪くなるので強く握ることができにくくなり、生活も困難になったりします。
原因は不明なので負担をかけないようにするというのが一般的ですが、動かさないと逆に固まって廃用性萎縮を起こし徐々に酷くなる傾向も考えられます。また痛みがなくても握力の低下を招いて、生活が不自由になったりすることもあります。そこで屈曲時のDIP関節の動きをよく観察してみると面白いことに気づきます。指が腫れているというだけではない動きの異常に気づきます。
各指の屈曲時の回旋運動
指関節は蝶番関節であり、一軸性なので回旋運動は起こらないとされています。しかし、指を軽く屈曲し、末節骨の先端を持って回旋させてみると僅かな遊びがあることに気づきます。遊びなので、意識的に動かせるような、あきらかな運動ではありません。しかし、この遊びには、方向性があることに気づきます。
DIP関節は屈曲時に内旋方向に遊びが多く、外旋方向には遊びが少ないという傾向です。それだけではなく、PIP関節は外旋方向に遊びが多く、MP関節は内旋方向に遊びが多くなっています。つまりDIP、PIP、MPは、屈曲時に、それぞれ逆方向に回旋運動の遊びがあるということです。
この傾向から関節の遊びは単独ではなく、隣接する関節と協調して屈曲伸展をしているということがわかります。更にこの遊びは第二~第五のCM関節にも影響し、手根骨にも特定の遊びを作っていることがわかります。この作用によって、腕関節や肘関節、肩関節にも影響しています。肩関節周囲炎のような疾患も手の指の遊びに問題があって夜間痛が酷くなっていることもありますので、指の動きを観察し、それを調整することで夜間痛が楽になる場合もあります。
関節に遊びがある理由は、車のハンドルに遊びがあるのと同じで、遊びがあることで操作を容易にし、力強い動作が可能になると考えられます。この僅かな遊びによって指先を屈曲した時の器用さと力強さを容易に発揮するのではないかと想像しています。
これは絞った雑巾が硬くなる原理とよく似ています。つまり最大筋力にも、この関節の遊びを通して硬く締まった関節を作り出し力強さを発揮している可能性があると考えています。逆に考えれば、この遊びが異常を起こすと筋肉はあっても本来の力を発揮できない状態になると考えられます。
ニコニコ接骨院 院長 酒田 達臣
【タイトル】
『接骨院の診察室』 第1回
問診中に突然目の前で患者さんが倒れたら。
医療に関わる私達はこの瞬間を必ずいつか経験します。
数年先か、明日か。それは分かりません。
その時の準備はできていますか?
2022年1月14日午前11時30分。
問診を始めた3分後にそれは起こりました。
患者Aさんは60代女性。
大分昔から、何かあれば当院を利用してくださっていました。
今回は右肩関節を痛めたとの事。
元々は1月7日に予約を入れられていたのですが、
当日「体調が悪い」との事でキャンセルされ、1週間後のこの日に再度予約されたのでした。
午前11時30分、僕はAさんを診察室にお呼びしました。
Aさんはいつもと違って疲れているご様子でした。
診察ベッドに腰かけたAさんは、右肩の診察を始めようと思っていた僕に、
こう切り出しました。
「1月7日の朝7時頃ね。雪かきをしていて、ちり取りで取ろうと思って、頭を少し下げた時に、急に頭が痛くなったの。」
Aさんの言葉を聞きながらそのままカルテに書いていた僕は、これを聞いた瞬間にグッと自分の心拍数が上がるのを感じました。
「どんなふうに?」
「頭を針金で…たくさんの針金で刺されたような感じで。」
「針金で?」
「そう。針金で。バーッ!!!!って。」
ここで僕は明確に意識しました。
「大変だ。くも膜下出血の可能性がある、いやくも膜下出血に違いない。」
これは、「マイナーリーク」で見られる頭痛の発症様式です。「突発ピーク型頭痛」です。脳動脈瘤が破裂したもののすぐに一旦止血したために微小出血で終わった時の症状です。頭痛が始まった時にどんな動作をしていたか特定出来るくらい突然に頭痛が出現して一瞬にしてピークに達する頭痛の起こり方です。通常の頭痛では決して起こり得ない起こり方です。
どんなに酷い片頭痛でも、痛みがピークに達するまでに「最低10分」はかかります。
痛みの強さ自体がどうかは関係ありません。「起こり方」が重要なのです。
症状が軽いマイナーリークもれっきとしたくも膜下出血です。そして再破裂する確率が高く、その場合の致死率は非常に高いものです。
更に緊張度は上がり、救急車を呼ぶ想定をしながら続けて聞きました。
「気は失わなかった?」
「うん、それは大丈夫だった。」
「どのくらい続いたの?」
「う~ん…その夜くらいまでかしら…」
その言葉をカルテに書き留めている時。
Aさんはふいに咳をしました。
次の瞬間、僕の視界の隅には、頭を膝の辺りまで下げて自分の頭か足を触る、あるいは屈んで頭を抱え込むかのような動作をするAさんの姿が映りました。
と思った直後。
Aさんは突然ものすごい勢いで後ろに反り返り、ベッドを横切る形でバーンと仰向けにひっくり返りました。
顔が一瞬にして変わっていました。
目は半開きで一点を凝視し、完全に無表情。皮膚は一瞬にして土気色になっていました。
診察開始から3分弱の出来事でした。
僕はものすごく驚きました。
「Aさん!Aさん!大丈夫!?Aさん!」と、Aさんの体をベッドに真っ直ぐにしつつ、 Aさんの目の前で僕自身の顔を左右に振りながら大声で声を掛けました。
Aさんが呼びかけに答えず、眼球が動かず、完全に意識消失しているのを確認した僕は、
咳をした瞬間に、頭蓋内圧亢進(脳の圧力が上がること)をきたし、それが引き金で「たった今脳動脈瘤が破裂したこと」を確信しました。
Aさんは「頭が痛い」と訴えて倒れた訳ではありませんでした。何も言わず突然ひっくり返りました。しかし、1週間前の頭痛はくも膜下出血のマイナーリークに違いないと考えられました。
これはセカンドアタックだ。間違いない。
「救急車!!!救急車!!!くも膜下出血だ!!くも膜下出血!!!」
大声でスタッフに119番通報の指示を出すと同時に、Aさんの口元に顔を寄せて呼吸を確認。
11時33分でした。
数秒して軽いいびきをかき始めたのを聞いて、おおよその回数から「呼吸正常」と判断。
橈骨動脈の拍動を確認し、「脈拍正常」と判断。
通常ならこのまま気道確保するのですが、今は頭部を動かさない方が良いと考え、AEDも使う必要はなく、このままの状態で呼吸と脈拍の観察をすると判断。
ここまでした所で、119番通報を指示したスタッフの電話が、向こうから色々聞かれているようでまだ終わってないのを見た僕は、電話を代わるようスタッフに指示。
「呼吸と脈拍観察してて!」
スタッフにはAさんの観察を任せ、電話を代わり僕から状況を再度伝達。
「〇歳女性。1月7日朝7時頃、雪かきをしていてちり取りで取ろうと頭を下げた瞬間、突発ピーク型頭痛が発生。その事を今問診している最中、咳をした次の瞬間に、後方にひっくり返って意識消失。呼吸、心拍異常なし。7日に発生した頭痛がマイナーリークで、たった今、その脳動脈瘤が再破裂してくも膜下出血を起こしたものと考えられます。間違いありません。直ちに脳動脈瘤のクリッピング術が出来る病院の脳神経外科に搬送してください!」
~続く
合同会社一歩 代表社員 川崎 初美
【タイトル】
介護予防の始まりから、現在までの変遷
1.介護予防のはじまり
介護保険制度は、2000年4月に運用が開始されましたが、その時には介護予防給付はありませんでした。2005年4月等施行の改正の際に、介護予防の重視が述べられ、この時に地域包括支援センターが創設し、介護予防ケアマネジメントが行われるようになりました。介護を予防するということは、介護の状態にならないようにすること。介護保険の柱の1つである自立支援の取り組みをしっかり行って、結果を出すことが求められるようになりました。
2.地域支援事業の充実へ
その後の改正では、在宅で生活されている中・重度の方へのサービスが不十分であるため、施設サービスへの比重が高くなっている現状を是正すべく、複合型サービス(現:看護小規模多機能居宅介護事業所)の創設や、医療的ケアの制度化(介護職員によるたん吸引等)がされました。一方、介護予防給付に関連する改正では、2014年4月等施行の改正で、予防給付の訪問介護と通所介護を市町村が取り組む地域支援事業へ移行し、多様化する地域課題に向けて対応するような働きかけを求められました。
3.地域包括ケアシステムの構築に向けて
現在は、どのようなことが求められているのでしょうか。2021年4月施行の改正では、地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する市町村の包括的な支援体制の構築の支援が掲げられるようになりました。介護保険制度は、3年を1期とするサイクルで財政収支を見通しながら事業運営を行っています。
その事業規模は、制度創設した2000年で、3.6兆円。10年後の2010年で8兆円。2018年で11兆円と拡大してきました。(図1)制度を持続させていく為には、自助の力で健康的な生活に努め、自分で出来ることは自分で行う。地域の中での繋がりや役割を求め、お互いに助け合う互助の力を育んで、効率の良いサービスの導入(共助)に繋げて行くことが求められています。
どのようにすれば、元気な人から、中・重度の方まで、役割を持ち活躍しながら、地域を支える住民として暮らして行けるのか。このことを念頭に置いて地域包括ケアシステムの構築に向けて、自分たちが出来ることを仕組化していきましょう。
4.私たちにできること
介護予防に携わっている方、これから携わろうとされている方は、自分が暮らす地域のことを知る努力を始めましょう。介護保険制度の主体となる保険者は市区町村です。各市区町村で第8期介護保険事業計画が発行されています。
人口や高齢化率、将来推計をはじめとして事業者数、新たに認可される事業者の数などもわかります。地区割なども頭に入れると、高齢化率などにも地域差が生じていることが理解できるようになります。20年前に比べると、飛躍的に対象者が増えています。(図2)全体像が把握出来たら、身近な所での活動に顔を出してみましょう。どのような取り組みが、どこで行われているのかを知り、その雰囲気を感じ取ることがとても大切です。
地域包括支援センターへ行って、地区を担当している生活支援コーディネーターさんと知り合うことが大切です。いまは住民の方の力をどのように引き出し、地域で主体的に活躍いただくかを考えて実践する時代になりました。地域をひろく捉えて、各地区の特徴をつかみ、実践している方の声が拾えること。このような準備が必要です。
5.今後に向けて
今回は、介護予防の始まりから、現在までの変遷を中心にお伝えしました。そして、いま求められていることについても私見を述べさせていただきました。次回からは、要支援者、事業対象者等のご利用者についての特徴や関わり方と、疾患別の特徴や訓練の進め方についてをお伝えします。
1.介護予防の始まりから現在までの変遷
2.要支援者の特徴と関わり方
3.自立・事業対象者の特徴と関わり方
4.痛みのある方への接し方と訓練から自主トレへの促し方
5.息苦しさを抱える方への訓練から自主トレへの促し方
6.すぐに疲れてしまう方への訓練から自主トレへの促し方
7.疾患別の特徴の捉え方と訓練の進め方(脳卒中)
【キーワード】バランス訓練、歩行の考え方、心の受け止め
8.疾患別の特徴の捉え方と訓練の進め方(関節リウマチ)
【キーワード】リウマチ気質、痛みとの付き合い方、活動範囲
9.疾患別の特徴の捉え方と訓練の進め方(パーキンソン病)
【キーワード】動きの特徴、身体と心の動き、家族関係
10.疾患別の特徴の捉え方と訓練の進め方(脊髄小脳変性症)
【キーワード】動きの特徴、ゴール設定、福祉用具と住宅改修
11.疾患別の特徴の捉え方と訓練の進め方(認知症)
【キーワード】軽度認知障害、フレイル、生活リハビリ
12.地域支援事業を通した住民との関わり方と、住民の力の引き出し方について