【内側上顆炎】

 では今回、内側上顆炎について解説いたします。

内側上顆炎は、橈側手根屈筋(とうそくしゅこんくっきん)・尺側手根屈筋(しゃくそくしゅこんくっきん)・長掌筋(ちょうしょうきん)・円回内筋(えんかいないきん)の付着部に炎症を起こすことで障害を起こします。

テストとしては、抵抗に対して肘関節屈曲回内で疼痛が有れば陽性とされていますね。

一般的には、スポーツでは、野球の投球、ゴルフのスウィングやテニスのフォアハンド、等でのオーバーユース仕事での繰り返し動作加齢による変性がよくあげられます。

毎度お定まりの、オーバーユース、と加齢性変性ですが、これも原因の一つであるかもしれませんが原因と呼ぶには弱すぎると感じています。

ここまで、稿を進めて参りましたがこういった症状の奥には必ず関節捻挫による機能障害が潜在しています。

では内側上顆炎にはどのような関節捻挫が潜んでいるのでしょうか?

図をご覧ください。

もしオーバーユースが原因とするならば、若い人で運動を注視して十分なケアをしているのにも関わらず回復しないというのは不合理だと思いませんか?

治りにくい理由を筋肉の硬化に求めたりしますが、一度視点を変えてみて見ましょう。

内側上顆炎になっている場合、腕尺関節に異常が生じて前腕軸がわずかに撓屈しています。

撓屈することによってモーメントアームが長くなり橈側手根屈筋(とうそくしゅこんくっきん)・尺側手根屈筋(しゃくそくしゅこんくっきん)・長掌筋(ちょうしょうきん)・円回内筋(えんかいないきん)は常時引き延ばされることになります。

つまり、使用しているときだけではなく、安静時も、就眠中も常に筋群が牽引された状態に陥るわけです。

牽引された筋肉は二次的に牽引力に耐えるように緊張して、断面積を大きくしようとします。そして筋肉の伸長率は50パーセント、腱の伸長率が7パーセント程度ですから一番牽引応力に弱いと腱と骨の付着部に損傷が起こります。

次に対処法について考えますが、内側上顆炎(炎症)ですので温熱療法は熱量を考慮しないと火に油に炎症を強める結果となります。(熱量の小さな熱刺激は除く)

また、牽引伸長されての障害ですのでストレッチは短期的には症状を軽減できても長期的には障害を大きくする可能性があるのではないでしょうか?

マッサージも慎重に施術しないと筋を損傷させる恐れがあります。

ここでも、まず腕尺関節の潤滑を再生させて前腕軸を元に戻す整復操作が必要となります。

まず、腕尺関節が正常に作動しているかのテストです。

この動作がうまくいかない時に腕尺関節に異常が有ると判断します。

 

内側上顆炎、肘部管症候群の整復法です。

まずメディカル・ハイドロバッグの巻き方ですが尺側から肘頭、肘窩を包み込むように巻きます。

①肘頭への静水圧と、尺骨の長軸圧の合力で整復します。

この時僅かに内反力を加えますが、方向を意識する程度で決して大きな力を加えてはいけません。

母指、対側の指の腹全体でクリップのように挟みます、そして包み込むような気持ちで

静水圧を加え、圧が安定するのを待ちます。

➁尺骨の近位を持ち長軸方向に加圧します。遠位を持てば、力点と作用点の長さが長くなり僅かな力で過度な内反力が加わるため、橈骨頭が引き抜かれ外側上顆炎を引き起こします。

外側上顆炎は比較的、頚胸移行部の異常を伴わないために動作痛が主で安静時痛、夜間痛を伴うことは少ないのですが、内側上顆炎頚胸移行部異常側に出現することが多く、

安静時痛、夜間痛を伴うことが多いです。

安静時痛、夜間痛のへの処置は肘の処置のみでは不十分で頚胸移行部の整復が必要になります。

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