桃山学院教育大学アスレチックトレーナー 川西 弘晃 NATA-ATC
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アスレチックリハビリテーション実践編
【ACL(前十字靭帯)術後から競技復帰 ステージ1】
ひざのケガとして代表的なものは、靭帯や半月板損傷です。また損傷度合いによっては、手術をして約8ヶ月、半月板なら4~6ヶ月はリハビリをすることになります。
そしてその後、元のようなプレーができず引退する選手や競技スポーツを断念するケースも少なくありません。なぜ、ひざに大ケガをするとスポーツを断念しなければいけないのか?
大腿部の筋力トレーニングができる段階まで最大5㎝もの大腿四頭筋萎縮が起こります。ダッシュやジャンプなどの不安を払拭し心身ともに準備して競技復帰を目指すためにもアスレチックリハビリテーションは必要不可欠なのです。
<ステージ1;0~2週間目>
痛みや腫れの緩和、動きを再教育する段階です。プログラム前に必ずアイシングを20分実施しましょう。
①ハムストリングスストレッチ
➁腓腹筋ストレッチ
➂膝蓋骨モビリゼーション
④伸展ROM改善1
➄伸展ROM改善2
⑥屈曲ROM改善1
⑦屈曲ROM改善2
⑧クアッドセット
⑨アイソメトリック屈曲運動
⑩アイソメトリック伸展運動
⑪レッグレイズ屈曲
⑫レッグレイズ伸展
⑬レッグレイズ内転
⑭レッグレイズ外転
⑮レッグカールかかと引き寄せ
⑯足関節底背屈運動
【解説】
①ハムストリングスストレッチ
➁腓腹筋ストレッチ
➂膝蓋骨モビリテーション
④伸展ROM改善Ex1
➄伸展ROM改善Ex2
⑥屈曲可動域改善1(タオルスライド)
⑦屈曲可動域改善2
⑧クアッドセット
⑨屈曲アイソメトリック運動
⑩伸展アイソメトリック運動
⑪屈曲レッグレイズ
⑫伸展レッグレイズ
⑬内転レッグレイズ
⑭外転レッグレイズ
⑮レッグカールかかと引き寄せ
⑯足関節屈伸
⑯足関節屈伸
理学療法士、国際カイロプラクター
Ken企画 渡辺 賢治
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私の経験した臨床でのトラブル
皆さん、こんにちは。
検査について書き始めて、早いもので今回で3回目の寄稿となります。
理学療法士、国際カイロプラクターの渡辺賢治です。
理学療法士としては、運動器疾患がメインで、カイロプラクティックは、卒後教育として機能神経学とスポーツカイロプラクティックを学びました。
実は他にも色々学んできました。
学んだものとしては、カイロプラクティックにおいては、上記のものと基本であるディバーシファイドテクニック、ガンステッドテクニック、トルクリリーステクニック、アクティベーターメソッド、アプライドキネシオロジーなどです。
その他にアレルギー疾患関連では、ナンブドゥリパッドのアレルギー除去テクニック(NAET)、ラングオートイミューンソリューションテクニック(LAST)
感情関連ではEFT。
その他にはニューロパターンテクニック、ボディトーク、マインドスケープ、AKA、アロマセラピー、上級ダウジング、セイクリッドジオメトリー、ミラクルブレッシングプロセス、そして占いまでさまざまなものを学んできました。
色々学んできましたが、初診においては、必ず基本的な検査は行います。
必ずです。
いきなりテクニックには走りません。先ず検査ありきです。
マーケットにおいては、テクニックの切り売りが多く、筋膜リリースや、ストレインカウンターストレインやトリガーポイント療法やマッスルエナジーテクニックなど挙げればキリがないです。
しかしそれらの技を患者さんのどのような状態で使うのか?
そういうことがあまり語られません。
テクニックを選択するとき、それ以前に患者の評価が必要だと思うのです。
私が初診で行う検査は、問診、視診、触診です。聴診や打診は稀に行う程度です。
具体的には、徒手筋力検査法、関節可動域検査、静的触診、動的触診、整形学検査、神経学検査このあたりは必須です。患者が良くなったときには、再検査そして再評価を行いますし、再発防止のためのエクササイズ処方のためにFMSも行います。
初診の検査を疎かにしていると大変なこともあります。
今日は過去に私が経験した事例を紹介していきます。
①整形外科クリニックで、勤務しているときの話です。腰痛の女性がリハビリオーダーされてきました。
触診により腹部に動脈瘤を見つけました。
私の感覚では約4cm。治療はやらずにすぐに内科医に報告しました。すぐにCT依頼し4.3cmの動脈瘤が確認され手術となりました。
検査もせずにカイロプラクティックでボキッとやってれば、私の目の前でのその方は亡くなったでしょう。
②とある整形外科クリニックでの話です。
そのクリニックでは、初診の患者がリハビリに送られてくると、必ず最初だけ私が診て、検査、評価、計画を立てていました。
中年男性が松葉杖をついて、腓腹筋挫傷という診断でリハビリに来ました。
私が一通り診ると、腓腹筋挫傷ではなく、アキレス腱断裂でした。
医師に「腓腹筋挫傷じゃなくて、アキレス腱断裂ですよ」などとは、立場上絶対に言えません。医療界には明確なヒエラルキーがありますから。
ですから、すぐにこのように報告しました。
シモンズテスト陽性、トンプソンテスト陽性、アキレス腱部に明確な陥凹が認められ、その部に圧痛も認められます。
ここまで報告すると医師は、アキレス腱が断裂していることを察してくれます。
コメディカルである私たちは、「アキレス腱断裂です」と診断は出来ませんので、検査結果を伝えるわけです。
③高齢女性がデイケアに来られました。デイケアの場合は、他医でのリハビリ指示書を元にリハビリ計画をしていきます。
担当は私ではなく、作業療法士でした。他医からの指示書に、右肩を転倒により打撲しているため、その部が落ち着くまで上肢のリハビリは控えるようにとありました。初回来られたときは、肩部に広い範囲で内出血が認められました。
しばらくして、担当作業療法士が休んだので、私が代わりに診る事がありました。
内出血は吸収され、すっかりキレイになっていました。しかし相変わらず痛みが続いているとのことでした。
自動で上肢を挙げてもらうと制限があり、他動で挙げると制限はありません。その際軋轢音はありません。
インピンジメントサインは陰性。
徒手筋力テストを行うとローテーターカフには問題なく、上腕二頭筋に問題がありMMT2と判断しました。
肩の屈曲では、肩を内旋して挙げるという代償運動が入り、肩を中間位にすると明らかに可動域が減りました。スピードテスト陽性で、上腕二頭筋を良く観察すると瘤のように盛り上がっています。もともと筋肉の少ない高齢女性なので、よほど左右を比べないと見逃します。そしてギャップサインも認められました。
上腕二頭筋腱の断裂ですね。
かかりつけ医に診察に行くよう勧めました。
その他にもデイケアでは、高齢男性の家族に明らかに様子がおかしいので、脳内のトラブルを考慮して早急に診察に行くよう勧めましたが、なかなか診察に行ってくれず、とうとう意識消失し救急搬送されたケースもありました。
腰痛で来られた患者が、脊椎骨折ということもありましたし、婦人科系のガンの方もおられました。
これらも検査により専門医に照会することが出来たのは、即時治療に入らず、まずは検査を丁寧に行った結果です。
私の経験では、検査もせずにいきなり施術に入られる治療院が多かったので、とても問題意識を持っています。