春は肝機能に要注意
東洋医学では、春は肝臓・胆のう経の流れが低下する時期と考えています。肝臓は「沈黙の臓器」とも言われますが、少しくらいの低下では自覚症状が出てこないので、見逃されてしまい気が付いたときには重症になっていたということも珍しくありません。
肝臓は、炭水化物・脂肪・タンパク質・ビタミンなど栄養物のほとんどの「代謝」を行っています。また、血清タンパク・血中ホルモンを一定に保つための調節も行ないます。
しかも解毒作用として、体内に取り込まれている農薬・食品添加物・化学物質・肉食性の有害物質などを分解して無毒化する働きも担っているのです。
肝臓は胆汁を生成し、脂肪の吸収・消化を促進するほか、血液成分の代謝に関係していますが、春は、風邪(ふうじゃ)という邪気により肝臓および胆のうの機能が低下して、その肩代わり(臓器の不調が別な形で現れる症状)として次の症状が現れます。
体がだるい・食欲がない・便秘・腹がはる・目の異常・イライラして怒りやすい・右の肩こり・腰の両脇側の痛み・股関節痛・膝の内側の痛みなどが出るなどです。
肝臓には高タンパク・高カロリーが必要だと言われますが、それを肉類や卵・牛乳で摂取するのは間違いであり、肉やレバーは血液を汚し、逆効果となります。肝と胆の食養生として、良い食べ物は、
①ビタミンA(肝臓を保護する働きがある)が含まれているもの
うなぎ・ホタルイカ・にら・ほうれん草・パセリ・人参
②ビタミンB(脂肪酸の代謝に関連)が含まれる物
玄米・ゴマ・緑黄色野菜・にんにく・バナナ・いわし・たら・キャベツ
③ビタミンC(解毒作用)が含まれる物
トマト・ブロッコリー・レモン・ピーマン・じゃがいも・小松菜
④亜鉛(肝細胞の再生に関与する)が含まれる物
生姜・海藻類・カキ・あさり・きな粉・緑茶
➄コリン(肝細胞の構成に関係する)が含まれる物
大豆・小麦胚芽・玄米・さつまいも・グリーンピース
などです。
悪い食べ物としては、アルコール・牛肉・牛乳・一切の甘味料(黒砂糖・ハチミツは可)・赤身で脂っこい魚・人工添加物入りの加工食品・果物の食べ過ぎ・動物性油脂・白うどん・白米・白パン・豚肉・ハム・ソーセージ・インスタント食品・化学調味料・甘い清涼飲料水・人工甘味料などです。
春の養生法としては、夜更かししても良いですが、朝は早く起き、ゆったり散歩などして、身体を伸び伸びと動かすことです。
衣類は、ゆったりとしたものを着て、気持ちもゆったりとして、心身ともに生き生きと陽気を発生させること、酸味(自然酢)をとり、辛みを控えることなどが春の養生法であり、これに背くと肝の気の流れが滞り、夏になって寒性(寒気がする)の病気にかかりやすくなるとされています。
春の旬の食材は、冬の間に体に溜った毒素を排泄して、新陳代謝を活発にするのを助けてくれます。
そして、夏の暑さに対抗する体作りの準備に役立ちます。春の味わい豊かな旬の食材には、グリーンアスパラ・グリーンピース・たけのこ・山椒・ニシン・わらび・サラダ菜・はまぐり・春キャベツ・あさつき・さざえ・ふき・ブンタン・三つ葉・そら豆・いちご・カツオ・あした葉・夏みかん・さやえんどう・あさり・タラの芽・ホタルイカなどがあります。
旬の食材を楽しんで肝臓・胆のうをいたわりましょう。