竹内整骨院 院長 竹内 廣尚

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【タイトル】

『いろいろな治療法』第4回 

〇今回は、コロナ奮戦記

・今回は「姿勢による健康診断」として話を進めていきたいと思います。

・7月26日月曜日、いつもの月曜日のように朝9時20分に家を出て学校に。月曜日は11時から12時40分まで、3年昼間部のあん摩の授業、昼食を食べて少し休み、午後1時30分から3時まで、課外授業。出席者は主に、2年生の昼間部の人達「治療法は太極治療、太極治療は全身の決められたツボに、鍼とお灸をする。上手になると、太極治療は全身のバランスが整うので、腰痛・肩こりをはじめ、あらゆる疾病に効果のある治療法です」

その授業も終わり、家路に、家について、着替えて治療に入る。

普通に、いつものように患者さんと話をしながら治療をし、新患さん(首から肩にかけて辛いという)が来ていたので、知熱感度の検査を百瀬先生にお願いして、検査後、私が、温冷治療器で全身の内臓の元気度を検査して、治療に入りました。治療後、新患さんは楽になったと話され、帰りました。ひと段落ついたら眠くなり、空いているベッドに横になりました。

ここから、私は全然記憶にないのですが、ベッドに寝て、呆けたように何かしゃべっていたようです。

患者さんで、私が昔お世話になっていた柔整師の先生が丁度治療を受けに来ていて、私の態度を観ていて「ちょっと変だよ、脳梗塞になったのかな」と話すぐらい変だったようです。

私はそこの所は全然覚えていないのですが、眠くなったと横になってからは患者さんの治療もせず眠っていたようです。1日の治療が終わって、従業員に起こされ、体温を測ったら38度あって、皆驚き、コロナかなーと、さー大変という事になったようです。

私は、というと、この夜の事は全然覚えていませんが、従業員の皆さんは大変だったようです。私の事を、病院へ電話しても受けあってもらえず、あきらめて、治療院の翌日の予約の患者さんへ、キャンセルのお願いの電話と、今日来た患者さんに体調に変化がないか確認の電話私を治療室に隔離し、治療院の休診の準備に入った。

・翌日、体温を測ったら37度、頭もへんでなくいつもと変わらない朝の気持ち。多摩総合医療センターに連絡が取れたというので、検査に百瀬先生とタクシーで医療センターに向かう。病院に着くと、百瀬先生が矢印を見つけ、→方向に案内をしてくれる。

30分ぐらい待つと名前を呼ばれた。検査室へ入ると、先生の問診が始まった。「昨夜は38度の熱が出たが、今朝は37度台、気分は、いつもとあまり変わりません」と話し、PÇR検査が始まるが、唾液がなかなかでない。やっと目標まで溜まり渡すことが出来た。検査の結果は、陽性だったら2日後に連絡が行きますと説明を受け帰宅した。

検査の結果が陰性であることを願いながら帰宅後、これから10日間生活をしないといけない部屋の掃除を始めた。休診の連絡をしてくれていた、百瀬先生と廣瀬先生の事が心配になる。

二人とも検査に行ったら陽性であった。日曜日に手伝いに来ていた、松下先生に連絡したら、「身体がだるく、熱っぽく、つらいので寝ています」との返事で、竹内治療院は全滅状態です。松下先生はつらくて、検査に行く気力もなかったので、数日後、ご主人さんに抗原検査キットを買ってきてもらい調べたら陰性で、ひと安心、すると少しずつ、ものを食べられるようになりました。と、連絡が入りました。

〇さて運命の日、7月28日朝、電話が来ました。「竹内廣尚さんですね、検査の結果は陽性でした。」「えっ陽性ですか」・・・

ショックでした。

多摩総合医療センターに検査に行き、帰ってからこの2日間、熱もなく元気でしたので、驚きました、電話で、これからの注意事項を色々と指導してくれました。

最後に、今後何かあった時に連絡を取りたいと思いお名前をお聞きしましたら、多摩総合医療センターの院長先生でした。有難い事です。

翌日から自動音声の質問の電話が朝9時過ぎにくるようになりました。何とも味気ないものです。例えばこんな調子です。

今朝熱は、

1、検温しなかった
2、36度台
3、38度台
番号を押してください。

身体についての質問です、

1、だるさがある
2、どこか痛い所がある
3、何も感じない
番号を押してください。

こんな調子で、朝9時前後に3~4日ありました、質問事項を、ちゃんとメモをしておけばよかったと思い、反省しています。

コロナに感染するとどういう症状が出るのか不安であった。

そこで症状が出る前に、治療院にある治療器を試そうと思いたった。

1、最初に、水素吸引機と微弱電流治療器の組み合わせの治療をした。

微弱電流治療器は自律神経のバランスを調整し、筋肉のコリを和らげる効果が有る。・水素吸引機は脳の血液循環を良くする、健康増進、疲労回復、美容に効果あり。

水素吸引機と微弱電流の組み合わせ治療は、リウマチの人に 効果があるというので、温冷治療(体液調整治療)と、鍼灸治療を交互に加えて治療していた。

全身の関節が痛くてつらいと訴えていた患者さんの治療を試みた。その患者さんが、現在痛みもなく楽になったと話している。その患者さんの、リウマチ検査数値を報告します。

1例目の患者さん。(2例目の患者さんはまだデーター整理中)

最初の頃は身体の節々が痛いと訴えていました。

ⅯⅯP-3(リューマチ活動性)・基準値(17・3~59・7)

患者Aさんの数値

R3年7月から、水素吸引機と微弱電流治療器を治療に加えたようです。

・R3年7月30日(150,2)
・8月27日(154,8)
・9月24日(104,5)
・11月5日(91,3)
・12月24日(194,0)

・R4年2月21日(100,7)
・4月20日(63,5)
・6月14日(69,2)
・7月22日(48,3)

と、数値は変化しています。これからどうなるかわかりませんが、患者さんは痛みがなく明るく元気にしています。このままよくなって、まだ薬の量も減っています。薬もいらなくなると良いのですが。

①水素吸引機と微弱電流の写真

2、アルファキュア

うたい文句は、「業界初―女性の為の専用治療器」・服を着たまま使える最新治療器です。

1、温熱―表在温熱+遠赤外線+深部温熱の「トリプル温熱」
2、パルスー共鳴理論より導き出した「パルス発振」
3、性能―効率よく狙った部位・深さにアプローチできる「性能」

応用編
①冷え性 ②便秘 ③肌あれ ④不眠

簡単にセットが出来、効果のある治療器です。
・ある日、「生理痛でお腹が痛い」お願いしますと言われ、
「女性の為の専用治療器」というのだから生理痛に効果がなければおかしいと思い、説明書通りセットしました。

両足裏、お腹、腰、両掌にパットを当てて、15分の治療に入りました。15分後、まだ少し痛いと話します。もう15分延長してみようと延長しましたら。お腹は痛くないというのです。驚きました。それからは生理痛の人が来ると30分、アルファキュアをセットします。

②アルファキュアの写真

・3、A2・マイナス電子充填装置

・リンパや血液の流れをよくして、免疫力を高め、美肌効果、内臓疾患、疼痛、耳鳴りに効果が有ります。

この機械は4セットあります。1セットは腕から、2セットはパットを貼って、治療をしました。

③A2・マイナス電子充填装置の写真

私はコロナに感染、静養中、これら、1,2,3の治療器のお世話になりました。

・コロナに感染し、外出もままならず、免疫力を高めるために自分でセットをして頑張っておりました。

そのお陰なのか、後遺症もなく、軽く済みました。

桃山学院教育大学アスレチックトレーナー 川西 弘晃 NATA-ATC

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【タイトル】

アスレチックリハビリテーション実践編

【足関節捻挫】

捻挫癖ってもとに戻らないの? いいえ! 戻ります!

重要なことは安静にさせず、神経系のつながりを回復させる為のアスレチックリハビリテーションプログラムを取り入れることで捻挫癖は改善できます。

リハビリには段階があるので、急に神経系メニューって訳には行きませんが、回復の状態を見て取り入れることでケガをする前よりも運動能力が良くなっているケースも多く見られます。

<ステージⅡ>
跛行を最小限に抑え、安全に荷重できるまでのトレーニングと筋力強化からジョギングまで進むステージです。

①アイシング20分

②アキレス腱ストレッチ

*高さ5㎝の台に先を乗せアキレス腱をストレッチします。
*息を大きく吸って吐きながら徐々に身体を前に移動させア
キレス腱からふくらはぎをゆっくりストレッチします。
*これを5回繰り返しましょう。

③タオルスライド…内反運動

*タオルを身体より外側に横に広げます。
*タオルの端にダンベル、辞書、百科事典などを置いて負荷を付けます。
*かかとを床に付き、足をタオル上に乗せます。
*かかとを軸に足を外側に広げます。
*親指でタオルを内側に引き寄せます。
*引き寄せ終わったら最初から、これを10回繰り返します。

注意
*かかとが床から浮かないよう、足関節のみ動かします。
*無理せず痛みの出ない可動範囲で実施しましょう。

④タオルスライド…外反運動

*タオルを身体より内側に横に広げます。
*タオルの端にダンベル、辞書、百科事典などを置いて負荷を付けます。
*かかとを床に付き、足をタオル上に乗せます。
*かかとを軸に足を内側に寄せます。
*小指でタオルを外側に引き寄せます。
*引き寄せ終わったら最初から、これを10回繰り返します。

注意
*かかとが床から浮かないよう、足関節のみ動かします。
*無理せず痛みの出ない可動範囲で実施しましょう。

⑤チューブ外反運動

*椅子に座り足にチューブをかけます。
*かかとを引っ付けます。
*チューブを外側に引きます。
*これを20回 3セット繰り返します。

注意
*かかとが離れないようにしましょう。
*足全体を動かすのではなく、足関節のみ動かします。
*チューブが緩まないように強度を調整しながら実施しましょう。

⑥チューブ内反運動

*椅子に座りチューブを足にかけます。
*ふくらはぎ(健側)がスネ(患側)に乗るように足を組みます。
*健側にチューブを引っかけます。
*20回3セット内側に引っ張る運動を繰り返します。

注意
*足全体を動かすのではなく、足関節のみ動かします。
*チューブが緩まないように強度を調整しながら実施しましょう。

⑦バランストレーニング

*両目を開けて片足で立ちます。
*左右交互に手でつま先を触ります。
*両目を閉じてチャレンジしてください。

注意
*できるだけゆっくりした動作で行いましょう。
*倒れないように最初は壁際で行いましょう。
*目を閉じている時以外は、意識の焦点を壁や床の一点に意識の焦点を合わせて行ってください。

バランスクッションの代わりにタオルやハーフポールもご使用できます。
*タオルを丸めて床に置き、片足を乗せてバランスを取ります。
*ゆっくり左右の手で交互につま先を触ります。

*ハーフストレッチポールを床に置き、上に乗りバランスを取ります。
*ゆっくり左右の手で交互につま先を触ります。

⑧バランスチューブ外転トレーニング

*チューブをテーブルの脚と足首に固定します。
*バランスクッションの上に片足で立ちます。
*右足をテーブル方向に寄せ外側にゆっくり引っ張ります。
*20回3セット行ってください。

注意
*左写真ではチューブのたるみが無くなる程度離れます。
*軸足を少し曲げ、振り子のようにチューブをゆっくり引っ張ります。
*体重は常に軸足に乗せ、振り子の足は床に触れる程度で繰り返します。
*意識の焦点を壁の一点か対象物に合わせて実施しましょう。

⑨バランストレーニング…内転方向

*チューブをテーブルの脚と足首に固定します。
*バランスクッションの上に片足で立ちます。
*右足をテーブル方向に寄せ、内側にゆっくり引っ張ります。
*20回3セット行ってください。

注意
*チューブのたるみが無くなる程度離れます。
*軸足を少し曲げ、振り子のようにチューブをゆっくり引っ張ります。
*体重は常に軸足に乗せ、振り子の足は床に触れる程度で繰り返します。
*意識の焦点を壁の一点か対象物に合わせて実施しましょう。

⑩バランストレーニング…屈曲方向

*チューブをテーブルの脚と足首に固定します。
*バランスクッションの上に片足で立ちます。
*右足をテーブル方向に寄せ、前方にゆっくり引っ張ります。
*20回3セット行ってください。

注意
*チューブのたるみが無くなる程度離れます。
*軸足を少し曲げ、振り子のようにチューブをゆっくり引っ張ります。
*体重は常に軸足に乗せ、振り子の足は床に触れる程度で繰り返します。
*意識の焦点を壁の一点か対象物に合わせて実施しましょう。

⑪バランストレーニング…伸展方向

*チューブをテーブルの脚と足首に固定します。
*バランスクッションの上に片足で立ちます。
*右足をテーブル方向に寄せ、後方にゆっくり引っ張ります。
*20回3セット行ってください。

注意
*チューブのたるみが無くなる程度離れます。
*軸足を少し曲げ、振り子のようにチューブをゆっくり引っ張ります。
*体重は常に軸足に乗せ、振り子の足には床に触れる程度で繰り返します。
*意識の焦点を壁の一点か対象物に合わせて実施しましょう。

⑫歩行訓練
*壁の印や目標に意識を決めます。
*患部から意識を反らして目標に焦点を合わせながら歩きます。
*跛行の有無を後ろから確認してもらうと改善効果が上がります。

評価:軽くその場駆け足やジャンプで痛みが最小であればジョギング開始です。

⑬ジョギング
*軽いジョギングから始めます。
*意識の焦点を前方の対象物に合わせて行ってください。

注意
*凹凸のないグランドや広場で走りましょう。
*切り返し動作など関節に負担がかかる動きは避けましょう。
*テーピング又はサポーターを装着することをお勧めします。

次回は競技復帰の為のアスレチックリハビリテーションをご紹介します。

御園治療院 院長 中村 秀一

【タイトル】

経絡の触診法

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経絡を触診する為には、意識が重要です。

なんの意識もなく経絡を触ろうとするのは、針の形を知らないものが、藁の中から針を見つけようとしているのと同じです。

まず、術者が何の経絡を触ろうとしているのかを明確にする必要があります。つまり見つけたい経絡がどこを走行をしているかぐらいは知っている必要があります。

次に経絡は縦方向に走っていると言われているので、横からスライドさせるように触る必要があります。

経絡は蛇行したり、太くなったり細くなったりしているので、縦方向に触ろうとしても捉えきれないことがあるからです。

横からスライドさせながら上下に触れていくことで、経絡の全容が見えてきます。その方が太さや蛇行している様子も明確にわかるようになります。

また、経絡は一定ではないので、つながっていないこともあるということを理解している必要があります。

手首の橈側には大腸経がありますが、そこに必ず大腸経の反応があるとは限らない。

そういう認識が必要です。

ここにあるはずという思い込みを捨てることが大事です。あくまでも身体の反応を最優先させなければなりません。この意識がないと無理やり大腸経を探そうとしてしまうので、実際には反応が無いのにあるはずと思い込むことで誤診を招いてしまいます。

経絡を触診する場合、初心者は、皮膚に触れようとしてしまいますが、皮膚に触れるか触れないかぐらいのところを触った方がわかりやすく、直接触る場合は、反応の強いところしか捉えることができません。

皮膚に直接触らないで、横にスライドさせながら探っていくと途中消えそうな状態になっているところがあるのもよくわかります。

最初のうちは、ゆっくり行いますが、慣れてきたら、できるだけ早く触診した方が全容を把握できます。

逆のように感じるかもわかりませんが、経絡はあくまで、目に見える存在ではなく、エネルギーの塊なので、変化に富み、移動も激しいという特徴があります。それを完全に捉えるには、できる限りスピードを早めた方が捉えられやすいという特徴があります。

経絡は術者のちょっとした思いでも十分変化します。そんなものがあるはずがないという意識を持ってしまえばすぐに消失してしまいます。絶対にあると言うのでもなく、ないというのでもなく、経絡という知識だけ使って素直に身体を観察することができないと経絡を触ることはできません。

物理的な「物」としての考え方しかできない人は、経絡を捉えることはできません。物質の捉え方とエネルギーの捉え方は違って当たり前だからです。そこを履き違えてしまうと一生、経絡を触ることはできません。

経絡を触ることができると何が違うのか?

経絡は、主に身体の縦方向に流れ、内臓や筋肉等の各器官と密接に関係しあっています。経絡を利用することで、内臓や筋肉、血管、神経、リンパと言った物理的に存在するものが、エネルギーとしての経絡でつながっているというのを認められます。

例えば膝関節が痛いと言う人の膝を調べても、物理的には、全く悪くないのに痛みがあると言う方も臨床上はよく見かけると思います。整形外科でレントゲンやMRIを使って科学的に観察したけど、全く問題はないと言われたが痛みが強いと言うような場合です。

もし、そういう判断をされたら我々に打つ手はあるでしょうか?

他の関節との関連を見ていくのも一つですが、経絡という全身を縦方向にくまなく流れているエネルギーの経路を利用することで、その根本的な原因を探り当てることができるということです。

関節の痛みであっても内臓と関係し合いながら痛みが起こっていると言うことを経絡というエネルギーの流れから紐解くことができる訳です。

胃の調子が悪くなって膝の痛みが出ている場合、お腹に手を触れると膝の動きが良くなったりします。その場合、腹部の胃経は活性化し、膝周囲の胃経は活性化していないというような場合もあります。

この方法で経絡を探る練習をしていると同じ胃の経絡なのに活性化している場所とそうでない場所があることにも気づくはずです。

目的は、教科書に書いてある図を確認することではなく生きた経絡を実際に手で触れることです。そうすることで、経絡の存在が更に信頼性の高いものになっていきます。

目に見えるものばかりを対象にするのではなく、エネルギーの流れとしての経絡を手で触診することで、より高度な治療が可能となってくるということです。

そして、微量な刺激量のみで、全身に影響する様子もわかるようになります。その為にもこのような練習を重ねることで経絡を明確にしていく訓練が必要です。

また、経絡がわかるようになると実際の解剖を鮮明に想像することが可能となってきます。エネルギーの流れがわかれば、物質の状態を把握することは容易になってきます。

あると言えばあり、ないと言えばないと言われる経絡ですが、あると思えるのも、ないと思うのも、術者の考え方の幅や経験によって大きな違いがある現象だと言えると思います。

 

御薗治療院 中村秀一 omisono@gmail.com
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ニコニコ接骨院 院長 酒田 達臣

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【タイトル】

『接骨院の診察室』 第5回
僕が尊敬してやまない医師たちが持つ中心軸。その勇気と行動。~その2

 僕に医療者としての「スピリット」「勇気」を与えてくれた、たくさんの医師たちの言葉と行動。

前回はその中から、エピソード1.としてM先生のお話を一つ紹介させていただきました。

今回もM先生の別のお話を書こうと思います。

 M先生は、僕が整形外科クリニック勤務時代に外来研修に派遣していただいていた先の、総合病院の整形外科部長でした。

僕たち理学療法室スタッフは、勤務先のクリニックの院長のご厚意で、交代で週に1回M先生の外来診療を丸1日見学させていただくという、ありがたい機会を与えられていたのです。

そこには何十人もの様々な疾患や外傷の患者さんがいらっしゃいます。

そこでM先生の診察と診断と治療を真横で見させていただけるというのは、僕たちにとってものすごい勉強になりました。

教科書で学ぶのと違い、問診の“機微”から整形外科的テスト法を行う際の力の入れ具合その他、膨大な情報を習得させていただきました。

ある日、手術後の手の経過を見せに来た患者さんがいらっしゃいました。

少し不自由ながらも、指を動かしたり物を掴んだりができていました。

M先生も患者さんも、なぜかとても嬉しそうでした。

その後M先生が僕に送ってきてくださった、先生の随想録の中に、その患者さんのお話が出ていました。

M先生が下さった随想録はすべてくまなく読んだ後、まとめて大切に保管していたのですが、数年前に引っ越しした際に、奥にしまい込んでしまったまま大量の書類に埋もれて、現在捜索が困難な状態にあります。

ですので記憶だけが頼りになりますが、今回は僕の頭にこびりついたこのお話を紹介させていただきますね。

 M先生が外来担当のある日、工場の機械で手首を完全に切断してしまった患者さんが運び込まれてきました。

M先生は応急処置を部下の整形外科医に命じました。

そしてご自分はまず待合室にあふれた大量の患者さんの診察を大急ぎで行い、終わると同時に、手術室に駆け込んでいきました。

そこでM先生は驚くべき光景を目にします。

何と、切断されたところの末端形成術がすでに完全に終えられてしまっていたのです。

患者さんはもはや“手首から先の無い”障がい者となっていました。

「手はどうした。」

M先生は廊下に出て付き添いの女性に聞きました。

女性はおずおずと袋を出しました。

中には切断された手が入っていました。

氷で冷やされており、状態は悪くありませんでした。

M先生はその場でめまぐるしく考えました。

時間にしたら一瞬だったのだろうと思います。

しかしM先生はそこである決断をしました。

M先生はその時のマインドストリームを、随想録の中で次のように語っています。

「自分は何か判断に迷った時、“これが自分の家族だったらどうするだろうか”と考えることにしている」

M先生は「これが息子だったら、何の迷いもなく、手首の接着に挑戦するだろう」と思ったそうです。

「それなら、やることは一つだ」とM先生は直ちに心を決めます。

「手首の接着にトライしてみようと思います。」

M先生が廊下の女性にそう伝えた時に、その女性が見せた何とも言えない安堵の表情

これはいまだに覚えている、とM先生は後に仰っていました。

M先生は手術室に戻り、部下の医師に退室するよう命じました。

そして部下が塞いでしまった断端の縫合糸をすべて引き抜きました

創面を露出すると、1人で手首の接着に取り掛かりました。

何時間にも及ぶ手術でした。

僕は手術はもちろん素人ですが、その大変さは想像に難くありません。

手はとても複雑な構造をしています。整形外科の中に「手の外科」という専門領域があるくらいです。

骨を繋ぎ、血管を一つ一つ繋ぎ、神経も一つ一つ繋ぎ、それぞれの指を動かす腱も、すべてきれいに繋がなくてはなりません。

(のちに高校クラスメートで現在都立病院の整形外科部長をしている友人医師に聞いたところ、手首の接着は実はそれほど難易度が高くはないとのことでしたが、手の外科専門医でもないM先生にとっては簡単な手術ではなかったと思います。)

その後は壊死との闘い。

何度も再切断せざるを得ないかという絶望的状態になっては、懸命な治療で持ち直して、というのを繰り返し。

ようやくそれが落ち着いたと思ったら、今度は腱の癒着との闘い

これを解決しなければ、手首はついたものの指が動かせず、使い物になりません

そこでM先生は北海道からわざわざ友人の手の外科専門医を呼び寄せて、一緒に再手術を行います。

その結果、一旦は完全に切断されてしまった手が、退院する時にはちゃんと箸も使え、字も書ける手として、患者さんに戻ってきました。

僕が目の前で見させてもらった患者さんでした。


―何かに迷った時。どう考えるか。何に基づいて判断していくか。―

これは人によってそれぞれだと思います。

M先生にとってそれは、「一旦自分の中心軸に立ち返ってみる」という事だったのだろうと考えています。

そしてM先生にとっての中心軸は、「患者さんを自分の家族だと思って最善を尽くす」という事だったのだろうと思います。

同じ職場の医師を束ねる立場で、部下の医師が行った手術をその場でふりだしに戻して一からやり直す、というのは、勇気がいることだと思います。

部下の反感を買うでしょうし、医療経済の面でも、自分の労力や時間という面でも、リスクという面でも、「そんな事はしない」という医師の方が、もしかしたら多いかも知れません。

でも、正しいのはどちらか?と問われれば、間違いなくM先生の取った行動だと僕は思います。

少なくとも患者さんにとっては、その後一生「手のない人生」を歩むか、「使える手を戻してもらった人生」を歩めるか、それはものすごく大きな違いでしょう。

医学書の中には、M先生の中心軸とは反対の立場を取る専門医の主張が書かれているものもあります。

「医師は患者さんを家族だと思って診てはいけない。一見良い事のようにも見えるが、患者さんに過度に感情移入することで、冷静さを失い、判断を誤ることがあるからだ。だから、患者はあくまでも患者として診るべきであって、決して家族に置き換えて診てはならない。」

…このような内容が書かれた医学書も読んだことがあります。

しかし、僕は違う考えです。

そもそも、患者さんを家族だと想像してみるだけで冷静さを失い、適切な判断ができなくなるような人間は、医師をやめた方が良いと思います。

別の仕事をした方が良い。人様の人生を直接左右する類の仕事に携わるのは不適格だと思います。

また、もしそういう事で冷静さを失うのであるならば、その医師は自分の家族が大怪我をしてしまい、助けることができるのが自分しかいないという状況に陥った時に

「家族を助ける事すらできない」という事になってしまいます。

本人にとっても大変残念でしょう。

医師という仕事に就く人間に求められるのは、
優秀な頭脳や知識や技術だけではない。

最も大切なのは、

どんな状況でも冷静さを失わないで判断できる精神力の強さと、
目の前の患者さんを自分の家族だと思って最善を尽くしきる優しさと、それを妨害するどんな壁にも負けないで立ち向かう勇気だ。

…そう僕は思います。

この3つとも、身に付けるのはとても難しいことだと思いますが、
だからと言って、医師を続ける気を持つ人々は、そこから逃げていて良くはないと思います。

また、もしこの3つがなければ、どんなに知識や技術があろうとも、役に立たないケースがあるばかりか、逆に人を不幸に陥れてしまう事にもなりかねません。

それは患者さんにとってだけでなく、医師本人にとっても不幸な事だと思います。

M先生の背中を実際に見て学ばせてもらった、M先生のこの「中心軸」

これはそのまま、今の僕が大切にしている「中心軸」に繋がっています。

紹介状のやり取りを通して、今まで30年近くたくさんの医師と関わってきて、この中心軸を共通して持っている医師たちと、そうでない医師たちがいるのを実感してきました。

当然ながら、医師という資格は、医学部に入学できる偏差値と、その後に国家試験に合格するだけの知識を取得すれば、自動的に手にすることができるもので、

医師の資格それ自体は、「人格」「人生哲学」「精神力」「冷静さ」「優しさ」「勇気」といったものについては、何ら担保するものではありません。

いつの日か、それが担保されるような教育や、実効性のある仕組みが、整備されるようになると良いな、と思っています。

ただ僕は実体験として、M先生のような医師もたくさんいることを知っていますので、

「私たちは希望を捨てることはまったくない。いつかそういう教育や仕組みが作られる時が来る。」と思うのですよね。

  

次回は、ある日手術中の現場で起きたハプニングと、そこでM先生が取った「誠意と勇気ある行動」を、もう一つご紹介しますね。

僕も思い出すたびに元気が湧いてくるお話しです。

どうかお楽しみに。

(次回は10月1日配信となります。)

合同会社一歩 代表社員 川崎 初美

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【タイトル】

【すぐに疲れてしまう方への接し方と訓練から自主トレへの促し方】

1.疲れの定義と原因について

 疲れは、これ以上、運動や仕事などの作業を続けると身体に害が及ぶという人間の生体における警報の一つです。

痛みや発熱と同じように、活動を制限するサインとしての働き(図1)があります。元科学技術庁の研究班が、「過度の肉体的および精神的活動、または疾病によって生じた独特の不快感と休養の願望を伴う身体活動の減退状態」と定義され、日本疲労学会でも同様に定義づけられています。

原因としては様々で、自律神経が関与して、脳がダメージを受けることで疲労が起きる。活性酸素によるストレスで、神経細胞が破壊されることで起きる。

加齢や、紫外線を浴びることで疲れやすくなり、さらに睡眠障害で疲れが蓄積されることが挙げられます。

図1  生体三大アラーム

2.疲れの種類について

 疲れの種類には、身体的なものと精神的なもの、そして病的なものがあります。

身体的疲労は、身体を動かし続けることで、筋肉に蓄えられていたエネルギーが枯渇し、使い過ぎることで老廃物や過労物質などが蓄積して筋肉の張りやだるさとして現れます。

精神的疲労は、緊張状態が続き、精神的ストレスが過剰にかかることで、視神経や脳が緊張することで発生します。病的な疲労とは、原疾患による疲労のことで、休息や気分転換では回復せず、治療が必要な状態を言います。

3.疲れへの対応

 疲れている人に、「がんばれ」は禁句です。もう十分に頑張っている結果、活動を止めるように生体アラームが発信されている状態だからです。

疲れを取るためには休息が必要です。質の良い睡眠を取ることを先決させましょう。緊張状態にある場合には、適度に身体を動かすことも有効です。

入浴して循環を良くしたり、リラックスさせたりして副交感神経を優位な状態にして調整することも大切です。そしてバランスの良い食事を摂ることを心がけましょう。特定のストレスが原因となっている場合は、そのストレスを取り除くか、遠ざかるようにすることが重要です。

4.疾患と易疲労症状

 脳損傷によって脳機能低下が生じると、精神的なエネルギーを消耗しやすく頭痛やめまい、目の痛み、姿勢の崩れが見られることがあります。

透析の方では、身体的疲労が生じて必要最低限しか活動しなくなると生活不活発病へ。また、精神的疲労によって記憶と想起がスムーズに行かず、うつ状態となる方もいます。

糖尿病では、全身倦怠感があり、高血糖では細胞内に栄養が取り込めなくなり、低血糖ではエネルギー不足となり、運動不足や睡眠不足が拍車をかけます。

神経難病では、神経が変性することで、筋肉を動かすために命令を伝える速度が遅くなり動作緩慢になったり、伝えるための物質が少なくて十分に伝わらなかったりします。

自己免疫性の神経疾患では、筋肉の脱力と易疲労性が主症状です。神経難病の代表格であるパーキンソン病では、四大徴候(静止振戦、筋固縮、無動、姿勢反射障害)に加えて自律神経障害や、抑うつ状態、そしてミトコンドリアの異常によってエネルギー産生機能が低下するため疲れやすい状態になります。

私たちが臨床で対応する方々は何かしらの疾患を抱えている状態です。疾患による疲れ方の違い(図2)についての理解を深めることで、運動指導に役立てていくことが大切です。

図2  疾患と疲れの種類

5.疲れに対する自主トレーニングについて

 疲れについての配慮をしながら耐久力をつけて行くためには、段階的な活動プログラムが必要です。

漸増的に行うことだけでなく、生活リズムを新たに作って行くように日中活動を中心に、脳への刺激と軽い体操、そしてリラックスする時間を構成します。

なるべくルーティン化できるように心がけて、集中する活動については、必ず終わりのタイミングを決めて、過活動にならないように注意します。

家庭内での役割を持って、その役割から活動の広がりへと促していきます。ゴミ出しの役割から、部屋の片づけ、そして模様替え。洗濯をしたら、干して、取り込み、畳んで片づける。

献立作りから買い物に行き、調理して盛り付けし、食べたら後片付けまでします。役割を持つことをゴールにして、地道な体力づくりへの意欲を上げて行きます。

本日の記事は以上になります。

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次回の記事もどうぞよろしくお願い致します。

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