捻挫にも整復を、
非圧縮性流体圧を使った新しい整復法

今回より「捻挫にも整復を、非圧縮性流体圧を使った新しい整復法」というテーマで執筆させていただきます大阪市開業柔道整復師の笠井浩一です、ご一読いただければ幸いです。

我々が臨床上よく遭遇する運動器の障害、捻挫ですが臨床で診る実態と一般的に言われる定義との間には大きな解離があるように思えてなりません。

そこでこれからその実態と安全な整復方法について常識にとらわれずに柔軟に考えていきたいと思います。

現在一般的に言われている捻挫の定義ですが

日本整形外科学会のホームページではこのように定義されています。

「関節に力が加わっておこるケガのうち、骨折や脱臼を除いたもの、つまりX線(レントゲン)で異常がない関節のケガは捻挫という診断になります。
したがって捻挫とはX線でうつらない部分のケガ、ということになります。

具体的には靭帯や腱というような軟部組織といわれるものや、軟骨(骨の表面を覆う関節軟骨、間隙にはさまっているクッションである半月板や関節唇といわれる部分)のケガです。」

  • 引用元:公益社団法人日本整形外科学会ホームページ
  • https://www.joa.or.jp/index.html

また一般的な成書では
「外力によって関節が生理的可動範囲を超えて動いてしまった結果、
関節包や靭帯の損傷が生じて、一時的に関節面の相対関係が乱れるが、すぐに位置関係が正常に戻った状態をいいます」

  • カラー写真でみる!
  • 骨折・脱臼・捻挫画像診断の進め方と整復・固定のコツ
  • 内田淳正 加藤公 編 羊土社 p12より

と定義されています。
つまり一般的な捻挫の定義というのは
1、軟組織の損傷である。
2、関節面相互体の位置関係は一時的に乱れるが、すぐに正常に戻る。
3,X線診断で異常のない関節のケガである。

関節の位置関係に異常が無いという定義ですから、骨折、脱臼のような整復の概念は生まれてきません、保険請求の項目も骨折脱臼の整復料に対して、捻挫は施療料となっています。

一般的成書にも捻挫の処置の記載は有りますが、整復の記載はないものが大半です。柔道整復師養成校の教科書にも捻挫の整復の記載は無いのでは無いでしょうか。

しかし臨床現場で日々奮闘されている先生方はこれらの定義に疑念を感じておられるのではないでしょうか?

何故なら、前距腓靭帯が伸びた比較的程度の軽い一度の足関節捻挫でもその後、腫脹や機能障害がなかなか引かずに慢性化するような例が少なくありませんね。

また、陳旧性の足関節捻挫には足関節の底背屈運動、うち返し運動などに制限が10年、20年の月日を経ても残る例もよく見られます。

もし、本当に捻挫の本体が軟組織の損傷のみであり、関節相互体の位置関係も完璧に元に戻っているならばなぜこのようなことが起こるのでしょうか、軟組織の治癒機転の三週間が過ぎ前距腓靱帯が治癒したならば、疼痛、腫脹、運動制限などもきれいに消失するのではないでしょうか、このことは軟組織損傷の他に要素が存在することを示しています。

このような現象は、足関節だけではなく、手関節、肘関節、むち打ち損傷など全身の関節におこり得ます。

ではなぜこのような関節の異常が捻挫の後に残存するのでしょうか、次回は異常を定義する前に関節が正常に機能する物理的な条件について考えてみたいと思います。

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