1つだけ検査を選べるとしたら
こんにちは理学療法士、国際カイロプラクターの渡辺賢治です。
ナンセンスな話ではありますが、もし行える検査を1つしか選べないとすれば…
私はマニュアルマッスルテスト(MMT)を選びます。
私が主催している「検査塾」では、MMT、触診、整形学検査、神経学検査、運動機能評価と5つの単元を8回にわたって徹底的に学んでいくのですが、真っ先に学ぶものがMMTなのです。
理学療法士などが学ぶMMTは、主にダニエルのMMTと呼ばれるもので、0〜5までの6段階で評価するものです。
このMMTは、γ2運動ニューロンの状態を診るもので、核鎖線維が関与をしています。
実はMMTには、もう1つの検査があります。
γ1運動ニューロンを診るもので、核袋線維の関与を診るMMTです。
筋力テストをかなりトレーニングされる理学療法士にも、γ1運動ニューロンを診るMMTのことは、ほとんど知られていません。
このような理論的な背景を知らなくても使っている人たちがいます。
キネシオロジー検査と呼ばれる、筋力テストを主な評価方法としているグループがありますが、これらのグループの方たちはこのMMTを活用しています。
たとえば良く知られている例としては、Oリングテストを行う人たちがそうです。
アメリカではアプライドキネシオロジー(AK)というカイロプラクティックの一つの体系があります。
このAKにはセラピーローカリゼーション(TL)と呼ばれるスキルがあります。
悪いところに触れると、強かった筋肉が弱化するという反応があります。
逆に弱化している筋肉が、とある場所に触れると強くなるという反応もあります。
このように結果が逆転する状態を、セラピーローカリゼーション陽性といいます。
実は筋力を厳密に言えば筋出力は、身体のどこかに触れるか触れないかだけではなく、さまざまなことで変化します。
たとえば…
目の位置、頚の位置、食べたもの、飲んだもの、その時の感情や心の持ちようでも筋力テストの結果は変化します。
たとえば右の三半規管の外側の半規管に問題があれば、左方に目が向いていると全身の筋力の弱化が見られます。
右バッターがこのような状況に陥れば、絶対にベストパフォーマンスを発揮することができません。
たとえば朝の通勤時…
電車が来たので、置いていた荷物を持ち上げた瞬間に、ぎっくり腰になったというケースは一般的によくあることです。
会社に行く程度の荷物を持ち上げることができないほど、普段から弱りきっている人ではないはずです。
ではなぜ簡単な日常生活上の動作で、そんなことが起こってしまうのでしょうか?
左側から電車が来たのを左方を見て確認した後、すかさず荷物を持とうとしても、右三半規管外側に機能低下があれば、筋弱化が起こりぎっくり腰を起こす可能性は大いにあります。
牛乳にアレルギーがあれば、朝食に飲んだ牛乳のせいで気付かないうちに筋弱化が起こっており、ぎっくり腰になる可能性は大いにあります。
家を出る前に年頃の娘と言い合いになり、イライラしながら駅のホームで電車を待っていたのなら、筋弱化が起こっている可能性があり、ぎっくり腰を起こすこともあるかもしれません。
日常の様々なことで、筋出力に変化が起こり得ます。
私自身も理学療法士として臨床現場に出ていたとき、あまりにも頻繁に結果の変わる筋力テストに翻弄されました。
先程行った筋力テストの数分後には、結果が変わっているなどということは良くあることでしたし、筋肉はまったく痩せていないのに、弱化している不思議なケースを山ほど見てきました。
何も分からなければ、困惑するし、筋力テストを信用できない検査と思ってしまうかもしれませんし、自分の筋力テストが未熟だと思い込み、一生懸命練習したりすることもあるでしょう。
そんなことに問題の解決を求めても、何も得られるものはありません。
そもそも筋出力に、影響を及ぼすものがたくさんあることを知っておき、その評価方法を知り、MMTを使いこなすことが出来れば、困惑した治療家からゴッドハンドに到達することが出来るかもしれません。