
第27回:多発性硬化症患者のための運動とケア
「多発性硬化症(MS)と向き合う:運動とケアで生活の質を向上」
[はじめに]
皆様、今回のニュースレターでは「多発性硬化症(MS)患者のための運動とケア」をテーマに取り上げます。MSは中枢神経系に影響を与える自己免疫疾患であり、症状が個々に異なるため、適切なケアと運動プログラムの選定が重要です。本号では、MS患者が生活の質を維持し、運動を安全に行うためのポイントを紹介します。
① 身体の機能面
MSは、筋力の低下、疲労感、バランス障害、痙縮(筋肉の硬直)などを引き起こします。適度な運動は、筋肉の柔軟性やバランス感覚を向上させるのに役立ち、日常生活の動作を楽にする効果が期待されます。
② 精神面
MS患者は、症状によるストレスや不安を抱えることが多いため、運動を通じてメンタルヘルスをサポートすることが重要です。ヨガや呼吸法、瞑想などを取り入れることで、ストレスを軽減し、リラックス効果を得られます。
③ 具体的な運動内容
- 水中運動:浮力が関節への負担を軽減し、運動のしやすさを高めます。
- ストレッチ:筋肉の柔軟性を向上させ、痙縮を和らげます。
- バランス運動:転倒防止のために、片足立ちやステップ運動を行うと効果的です。
④ 福祉用具や住宅改修について
転倒リスクを減らすため、歩行補助具(杖、歩行器)の使用や、自宅のバリアフリー化(手すりの設置、滑り止めマットの使用など)が推奨されます。
⑤ 病気に関する知識
MSは症状が変動する疾患であり、疲労が悪化する場合もあるため、無理のない運動計画を立てることが重要です。特に暑さが症状を悪化させることがあるため、適切な環境での運動が必要です。
⑥ その月のテーマと栄養について
MS患者には、抗炎症作用のある食品(オメガ3脂肪酸を含む魚、ナッツ類)やビタミンDを豊富に含む食材(きのこ類、卵黄、魚)が推奨されます。
[まとめ]
MS患者にとって、運動は生活の質を向上させる大切な要素です。このニュースレターが、機能訓練指導員の皆様がMS患者に適切な運動プログラムを提供する際の参考になれば幸いです。
次回は、「生活習慣病予防:運動と食事のバランス」をテーマに、健康維持のための実践的な方法を紹介します。
三谷接骨院 三谷誉
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