株式会社エス・エス・ビー
本社営業部 青木 崇晶
今回のタイトルはこちら!
「鎖骨のエコー観察」
前回の肋骨に続き、体幹部のエコー観察を取り上げたいと思います。今回は鎖骨です。肋骨同様に湾曲部が多い部位となり、意外とプローブワークに苦労される方が多いようです。
鎖骨の長軸走査
先ず、肩関節の肩峰・上腕骨・棘上筋の描出をします。
そのまま中枢にスライドしてゆくと、肩峰から鎖骨の外端が見えてきます。
肩峰と鎖骨の間には肩鎖靱帯が確認できます。
肩鎖関節から鎖骨に沿って長軸方向に中枢へ走査します。鎖骨はS字型を成しているので、慣れないうちは鎖骨を線状高エコーとして描出しにくいと思います。
その時には、プローブを持っていない方の手で触診して鎖骨の位置を確認しながら走査して、また基本通りプローブ先端から指がはみ出すようにプローブを把持していると鎖骨からずれ難いです。プローブを中枢にスライドさせてゆく際に、鎖骨のカーブする方向にプローブを少し回転させるように走査します。
次に鎖骨の短軸走査です。
骨軸に対して90度になる様にプローブを置くと、鎖骨外端部では少し平たんに広く描出されます。鎖骨に沿って中枢にスライドするにしたがい鎖骨の形状は円形となってゆきます。
鎖骨骨折の描出
鎖骨骨折があると骨折部分に一致して鎖骨に限局性の圧痛を認めます。鎖骨中1/3の内側・外側のカーブの部分が好発部位となります。
小学生以下の小児は弾力性に富んだ骨質により、骨折時に完全に離断せずに若木骨折となることがあります。一方で年齢が高くなっていくと骨質の弾力性が失われていき、2つ以上の骨折片に離断します。
また若年者は鎖骨外端に外力が加わると靱帯断裂による肩鎖関節脱臼に至る場合が多いが、高齢者は骨質が脆くなるために同様の外力でも外端部を骨折するに至る傾向が高くなってゆきます。
鎖骨骨折の場合、短軸で追っていく方が転移の方向や程度を把握しやすい場合が多いです。長軸で追っていくと中枢断端と末梢断端の転位が大きいため、中枢断端と末梢断端を同時に描出するのは困難になります。長軸走査で観察するのは整復固定処置を行ったものを確認するのに有効性があると思われます。また健側・患側の比較や、カラードプラの使用が有用です。
以上、鎖骨はその形状からプローブワークに少々苦労するかもしれませんが、「怪我の程度や整復の確認などにエコーを使用する」ことは、患者様にとっても先生にとっても安心感が生まれると思います。
問診・視診・触診・徒手検査による先生の見立てに、『エコー観察』の客観的画像の情報を加えると、より適切に患者様の状態に寄り添うことができます。適切な施術の選択や治癒のタイミングの判断が出来ると、先生と患者様の信頼関係はさらに強まると思います。
超音波による観察は簡便にリスクなく行えることから、柔整にとって強力な武器になると考えられ、そのさらなる普及を願っております。
株式会社エス・エス・ビー
営業企画本部 青木崇晶