患者に行う検査の重要性
はじめまして。理学療法士、国際カイロプラクターの渡辺賢治です。
今回から検査について連載していきます。まず検査の重要性や意義をお伝えしてから、各種検査についてお伝えしていきます。今回は検査の重要性についてです。
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検査は治療家(院)にとって、入口戦略です。
検査が大事だと誰もが理解していますが、多くの治療家(院)が疎かにしています。診断は医師のもので、侵してはいけないという背景がそこにあるようです。
しかし現実問題として検査をしないで、どのように患者を診ていくのかと疑問に思います。
プロの治療家としてそれで良いのでしょうか?
私も今まで多くのカイロプラクティック院、整体院、接骨院、鍼灸マッサージ院などに患者として通いました。
しかし、しっかり検査をされた経験はありませんでした。
形だけの問診票、簡単な質問の後いきなり治療が始まることがほとんどでした。
酷いときは、いきなりうつ伏せになるように促されることもありました。
このような治療院の先生は、何かしらの技を行い、「どうですか?」と尋ねることが常です。
「あまり変わりません」と言うと、また違う技を行います。再び「どうですか?」と尋ねられ「まだ痛いです」と答えると再び何かの技を行うという、この繰り返しです。
行き当たりばったりの治療なのです。
知ってる技を当てはめていくだけで、それは勘や経験で行われます。
患者としてもそのうちに「うーん…大丈夫なのか?」と不安が増してきます。
そしてとうとう「来なけりゃよかった」となるわけです。
患者がすでにそう思っていると知ってか知らずか、汗をかきながら「やりすぎても身体に良くないので、今日はこの辺で終わりにしておきましょう」ともっともらしいことを言ってリリースします。
初診時は問診や検査などで時間を取るので、初診料は再診料より高く設定している治療院もあります。
しかし私の経験では、検査などまずやってもらったことはありません。
これはあらゆる意味で、あまりに危険です。
検査は治療家(院)に、重大な5つのメリットをもたらしてくれます。
それは以下です。
①患者の問題を見つける
②治療の方向性を決定する
③治療効果を判定する
④リスクを回避する
⑤収益をもたらす
さて、この5つのメリットの中で、要らないものはありますか?
他にもまだまだあります。例えば、患者からの信頼を得る、という事も入り口戦略としては、大きなメリットの1つです。
検査は例えて言うなら「小さな窓」です。1つの検査だけで、すべてが分かるわけではありません。
いくつもの検査を行い、小さな窓を覗くことで、ようやく核心が見えてくるのです。できるだけ多くの窓を開けることが大事で、臨床現場では素早くたくさんの窓を覗くことが要求されます。
たくさんの窓を覗くこと、つまり多くの検査をすることで、問題は筋なのか?関節なのか?神経なのか?骨なのか?内蔵なのか?判断出来るようになります。
問題が分かればどのようなテクニックを使うべきなのか?治療の方向性が見えます。
そして行った治療の効果がどうなのか、術前検査と術後検査を比べることで効果判定の役にも立ちます。
そして何より自分が診れる患者なのか?専門医に紹介すべき症例なのか?そんな判断も出来るようになります。
このとき、例えば腰痛患者に腹部大動脈瘤を見つけたとします。
おそらくその時点で、治療を断念し、専門医へ紹介するでしょう。
その時に治療費を要求しますか?
例えば7,000円で普段治療してれば、腹部大動脈瘤を見つけて専門医へ紹介したとき、7,000円を請求するでしょうか?
請求するという方、治療はしてませんよね?
あるいは何も請求しない、という先生もいるかもしれませんね。
しかしそれはダメです。プロの治療家なら、あなたの一言一言にコストがかかっています。
腹部大動脈瘤を見つけて、治療をしなかったからと言って、無料はありえません。
それは無責任というものです。
検査料を予め設定しておけば、そんなときは、検査料を請求すればよいのです。
これが正当な初診料のあり方です。
検査を行い、問題なければ治療を行う。この時に検査料+治療費をいただけば良いのです。
検査を行い、自分が診るべきでないと判断したときは、検査料のみいただけば良いのです。
あなたの仕事における、検査の重要性とそこから得られるメリットの大きさを考えると、検査は充分にマスターしておかなければいけないスキルなのです。