役に立つ「東洋医学の知恵」

 皆さんは、東洋医学と聞いてどんなイメージを持つでしょうか、「古臭い」「遅れた医学」「科学的でない」などのマイナスイメージを持たれる方も多いのではないでしょうか。

私もかつてそうだったので、あえてそう思ってしまうことに何のかんのと言うつもりはありませんが、そんな私の考えを180度変えてしまった「東洋医学の知恵」との出会いとその凄さの一端を読者のみなさんと分かち合えたらという思いから、ペンを取ることにいたしました。

内容をできるだけ一般の患者さんが読んでも簡単に理解できて、日常生活でもためになるようなものを中心に書いていこうと思いますので、ぜひご支援いただければと思っています。

東洋医学と言っても様々な考え方、療法があり、「その考えは、違う」と言う意見もかならずあると思います。私が書くことは、私の師匠である「レインボー療法」を創設した小野田順亮先生から教えを受けた内容が中心になります。ベースは、陰陽五行説などの中医学になりますが、臨床での気づきや発見から新たに構築されたものが多く含まれていますのでご期待ください。

西洋医学と東洋医学の考え方の違いとは

  西洋医学の健康に対する考え方を簡単に説明しますと「健康とは一定の範囲内にあって変化のない状態」ととらえていることです。つまり常に一定の範囲内の状態にあるときに人は健康で、そこからずれると病気であるという考え方です。

血液検査などが、こういうものに該当します。さらにホルモンの測定・心電図・脳波・骨密度検査・CTスキャン・MRIなど、生きた身体を解剖するかのように情報が得られるようになりますと、ますます正常値や基準値が作られます。

わかりやすく説得力がある様に思われますが、こうした基準値・正常値を中心として病気を見ると計測した数値上では、全く正常なのに異常を訴える人。異常があるのに病気のない人が存在しています。

 これらは、年齢差の配慮が難しいこと、数値や形に置き換えられないものの把握ができないなどの欠点が考えられます。気づかないうちに発生している病気を早く診つけるという長所がある反面、自覚症状があるのに「どこも悪くない、気のせい」とお医者様に言われたということもあるわけです。

人間の体があたかも機械であるかのように「いつも同じ状態にあることが健康である」という感覚を現代人に植え付けてしまったとも言えるのです。

東洋医学の考え方

 では東洋医学では、健康というものをどうとらえているのでしょうか。第一の特徴は、人間の体は、絶えず動いており、一瞬として同じ状態ではいない、じっとしている時でも、体の中では常に絶えず動いているととらえています。

このスムーズな流れに異常が起きて、停滞したり、詰まったりすると病気が発生すると考えます。植物が季節によって違う成長をすることや、動物や昆虫の四季の生活、動物の冬眠や、毛の生え変わりなど様々な周期の中で、体を変化させながら生きているのが解ります。人間にもやはり、このような変化が時間や四季、環境や気象、そして一生を通じて変化があるのです。

東洋医学では、こうした自然界とともに変化する様々な身体の現象を大切に考え、生命体としての健全な状態を理解しようとする視点を持っています。一日の中に朝昼の活動する時間帯の「陽」。夜の静まっている時間帯の「陰」があります。

その各時間帯には、身体の状態が違っています。各種の病気もまた、一日のうちに規則正しく症状の出る時間帯があり、これらの現象を理解して改善する方法も存在するのです。

東洋医学では、人間は、一日・一か月・一年といった周期の他に生まれてから死ぬまでという大きな周期の変化の中で生きているという考えと《自然の中に人がいて、人の中に自然がある。》という考えにより、構成されているのです。

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