第5回 脊椎バイオメカニクス

上部頸椎運動学の一部分

上部頸椎(環椎・軸椎)を構成する関節は、環椎後頭関節、環軸関節(外側・正中)、軸椎―第3頸椎関節(椎間関節・椎体間関節)です。

このうち環椎後頭関節と環軸関節は椎間板が存在しないという、他の脊椎関節とは異なる構造で、関節運動も得意的です。

では前回の腰椎のように、上部頸椎運動学についてまとめてみましょう。

①屈曲・伸展運動

カパンディー関節生理学より引用

図を観察しますと、環椎後頭関節が屈曲及び伸展している様子がわかりますが

環軸関節の動きはどの様な動きをしているのでしょうか。

環軸関節は、凹凸関節ではないですね。図をみれば!!

実は環軸関節は凸凸関節と言えるのです。

よって前後運動しないのです。
究極の言い方をしますと、一点でギッタンバッコン
揺れているようにも感じられます。

早速不思議な特徴が明るみになりましたね。

次は側屈についてのまとめと考察です

➁側屈運動


カパンディー関節生理学より引用

 図を観察して頂きますと左側屈しているのが分かりますね。

また、クサビ状になっているのも観察できるかと思います。

ここで、第1頸椎(アトラス)を施術するにあたり、非常に重要な事実がこの図に存在します。左に側屈すると、アトラスが左側方に若干移動する事です。

一回だけ質問をうけた内容として
歯突起があるから側方に移動するはずない!!
という内容です。

勿論

大きくは動かないですが、正常な関節軟骨の摩擦係数は氷と氷の摩擦係数より約10倍滑る生理学を考えますと側屈した側に若干の側方移動が生じてしまうのです。

この側方移動が施術するにあたり、最重要ポイントになります。

もう一点重要な事実が翼状靭帯の存在です。

お持ちの解剖学参考書で、翼状靭帯を調べて見てください。

側屈運動と回旋運動の連動が分かるはずです。

ここでは、下図を分析してみましょう。

環軸関節の回旋運動の役割を思考してみましょう。

先程も触れましたが、環軸関節は凹凸関節形状ではなく凸凸関節形状で回旋しますと、前後に若干、嵌る動きが生じます

この動きが何を意味するか!

この1~2mm程度の上下移動があるおかげで、脳幹の牽引を防止しているのではないか?

と私は考えています。

普通の弾性物体は捻じれたら引っ張られるのが常識と言えるのでしょうが、捻じれて緩むのが、実はこの構造なのではないでしょうか。

よって上部頸椎の回旋運動骨構造も硬膜構造が捻じれて緩むというメカニズムではないでしょうか。

まだ解明されていない分野ですが是非とも思考してみてください。

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