【非圧縮性流体圧を使った新しい整復】
では、整復方法について考えてみましょう
転位の方向は前後軸(X軸)方向、左右軸方向(Y軸)、上下軸方向(Z軸)の離開、捻転、軸傾斜などが考えられ、単一の転位ではなく多くはその複合です。
徒手で整復を行うためには
1微細な転位を判定。
2過剰整復、整復不全を起こさない絶妙の力加減ですべての軸に対応。
3潤滑と運動機能軸の復元。
が求められるため、高い技術力と感性が必要になり、難易度が高くなります。
そこで非圧縮性流体圧の静水圧による整復を行うわけですが、まず非圧縮性流体での静水圧の性質ですが、バッグが接触している部分すべてに均等な力が垂直に働きます。
図1をご覧ください。
長管骨で構成される関節部分に非圧縮性流体圧応用整復器具を巻き、外から加圧すると、静水圧が働き2骨の軸が整い、前後(x)軸、左右(y)軸の位置異常と上下(z)軸方向での軸傾斜が整復されます。
すべての方向から均等に垂直圧が加わるわけですから、過剰整復も整復不全もおこりませんし、関節の微細な転位の判定が出来なくでも自動的に整復が可能になるわけです。
そして持続的に静水圧をかけることで関節の内圧が高まり潤滑が再生します。
この状態で上下(z)軸圧をかけると(自動運動でも他者介入型でも可能)上下(z)軸方向の離開が整復され、上下(z)軸周りの捻じれも関節形状に沿ってはまり込むように整復されます。
では、実際に足関節に使用してみましょう。
足関節の内反捻挫、日常診療でよく遭遇しますね、足関節が内反し前距腓靭帯が損傷します、それと同時に距腿関節間にも微細な関節転移と潤滑不全が発生し荷重時痛や、底背屈制限を起こし、内反で足部に張り感を訴えます。
図2
陳旧性の足関節捻挫でも整復が行われてないものや、十分な歩行荷重で関節間の微小転位や潤滑不全が取り除かれていな例では何年経っても底背屈制限が残存します。
この状態を放置すると左右の荷重に偏差ができるために後々、様々な障害を引き起こすことになります。
まず非圧縮性流体圧応用整復器具メディカル・ハイドロバッグを足関節部に巻きます。
巻いた状態で患者に起立を促し、術者は足関節のハイドロバッグに全圧が加わるように両手で環状にして圧力をかけます。
この時点で、前後(x)軸、左右軸(y)軸のずれは修正されていますのであとは荷重をかけて上下(z)軸方向の微小転位と潤滑の再生を図ることで整復を完了させます。
非圧縮性流体圧応用整復器具メディカル・ハイドロバッグを使用した整復法の動画はこちらからご覧ください。