第5回トレーナーという仕事(初級編)
毎日異常な暑さが続いていますね。ただでさえ例年に比べて気温が高いというのに、立場上マスクを着けていなければならず、暑さ倍増です。
さて、夏といえば・・・。そう、合宿です。
写真-1 合宿地のグラウンド
写真-1のように日常と異なり自然に囲まれた環境で、競技のことだけを考えながら仲間と寝食を共にする。現役の選手たちにとっては飛躍の時期となりますし、良い思い出ともなります。ただ、ここ数年は新型コロナの影響で、合宿はおろか修学旅行など宿泊を伴う行事は全く経験していない世代もいるようなので、可哀想に思います。
合宿は選手にとって、追い込まれても逃げ場も無く辛いものかもしれませんが、トレーナーにとっても厳しいものとなります。
日頃のグラウンドでは、部活時のみの選手との付き合いになりますが、合宿となると朝から晩まで、場合よっては夜中の体調不良への対処まで付き合うことになります。
図-1に示したものは、あるチームの体調チェックシートの一例です。このチームはスマホのアプリを使用して管理しているのですが、パッと見で分かりやすく見たいので睡眠時間と体温、体調を用紙に記録させていました。スマホアプリも便利なのですが、どうしても見づらいので・・・・。老眼・・・。
図-1 体調チェックシートの一例
高校生以上ではあまり経験は無いですが、中学生ですとトイレまで間に合わずに廊下や部屋で嘔吐してしまったり、廊下で大便を漏らしてしまった選手もいました。それらの対応もトレーナーの方で行うことが多かったです。宿によっては感染防止の観点から宿舎のスタッフが行うので手を出さないでと言われることもありますが。
余談ですが、筆者自身がカキに当たった際に嘔吐、下痢に見舞われたのですが、その際にトイレまで間に合わずに廊下で吐いてしまう子供たちの気持ちがよくわかりました。私はなんとか持ちこたえましたが、噴出してくる勢いはなかなか止めきれませんね。そんな経験をしてからは、吐いてしまった処理をする際も、「仕方ないよね」と思いながら後始末できるようになりました。
トレーナーの一日の大まかな行動としては
①起床 選手よりも早く集合場所で待機 6時前に集合することが多い
②体重・体温の測定と体調チェック
③朝のランニング&体操の指導
④朝食 朝食後選手対応があるため大急ぎで詰め込む
⑤テーピングなどの選手対応
⑥午前練 通常通りのトレーナー業務を行うが、水場が遠かったりするので大変
⑦昼食 昼食前に体重測定 昼食後選手対応があるため大急ぎで詰め込む
⑧選手は休憩 ケアが必要な選手への対応
⑨午後練
⑩選手は入浴 ケアが必要な選手への対応
⑪夕食 夕食前に体重測定 夕食後選手対応があるため大急ぎで詰め込む
⑫選手は休憩 ケアが必要な選手への対応
⑬チームミーティングに参加
⑭選手は休憩 ケアが必要な選手への対応
⑮選手は就寝 監督・コーチたちへのケア
⑯トレーナーミーティング
⑰資材の確認(テープの在庫確認や翌日の氷の量、ドリンクの確認など)
⑱トレーナーの勉強会
⑲入浴 就寝午前2時くらいになることが多い
上記の行動については一例ですし、競技種目やカテゴリーによっても当然変わります。合宿時には学生トレーナーも連れて行くことが多いので、トレーナー業務をこなすだけでは無く、学生に対する教育も行います。また、夜には監督コーチからお誘い(宴会)も入ることが多いです。
体重チェックについては、本当は練習前後に計測することが理想なのはわかっていますが、人手や時間の関係で、上記のようなタイミングで測定することが多かったです。トレーナーの目の前で測定し、記録をしておかないと虚偽の申告をしてくる選手もいるためです。
基本的に、現地に入ったらフルパワーで活動します。今は合宿帯同の本数が減っていますが、多いときは1か月以上合宿(時々帰りますが)に出ていたりしました。もう体力・気力がもちませんが。
写真-2 菅平高原のモニュメント
7月に菅平高原でラグビーの合宿帯同をしてきました。菅平に来ることができたのは3年ぶりでした。写真-2は菅平高原国際リゾートセンター(菅平の玄関口のところ)駐車場にあるモニュメント。毎回来るたびにここの写真を撮っています。例年最初の遠征帯同が菅平高原でのラグビーですので、ここに来ると夏が来たな!と感じます。
驚くことに今年度は、SAFE PROJECT2022「全てのグラウンドにAEDを」という日本ラグビーフットボール協会の取り組みで100面以上あるグラウンド全てにAEDが配置されるという、素晴らしいプロジェクトが展開されていました。筆者が宿泊した宿は3面のグラウンドがあるので3台のAEDが配備されていて、朝グラウンドに行く時にAEDを持参し、夕方宿に戻る際に持ち帰るというシステムになっていました。
安全安心に合宿に向き合える、素晴らしい取り組みだと思います。多くの方々が実現のために奔走されたのだと想像できるので、関わられた方々には敬服いたします。