第1回脊椎を学ぶ前に!!

初回は少し難しい内容となりますが、脊椎を施術する際の神経学の重要性についてお伝えします。

バランスを診る事について考えてみましょう。施術家が姿勢分析、歩行分析、それによる、左右の揺れ等を診るのは、ある意味、機構的バランスを診ている事にあります。所謂、構造を視診することによるバランスの思考といえます。

では西洋医学(耳鼻科、神経科)におけるバランスの診断はどのような検査があるのかと言いますと、神経学的検査(脳幹、小脳系の検査が主体)によるバランスの思考といえるのです。

そこで、このような現象があります。3つ例をだしますと、仙腸関節の施術による眼球の動きの変化(中脳への影響)、上部頸椎の施術によるカーテン徴候の変化(延髄への影響)、頭頸部冷却によるブラインドスポットの大きさの縮小(おそらく脳幹、又は大脳への影響)

この事実を踏まえますと
長く臨床の現場で観察している立場からいえることは
機構的バランスと神経的バランスはお互い助け合ってバランスを正常化しているのではないかということです。(もちろん視覚、前庭迷路も含め)究極、神経学的検査の異常を脊椎アプローチにより改善でき、又は脊椎の異常を神経学的検査で診ることができるのではないでしょうか。

神経学は非常に難しい学問である反面、手技療法界では施術と研究の対象が神経学に移行傾向にあることも、上記の現象により容易に理解できます。

そこで、施術家による神経学的検査の目的について触れていきます。
目的:脳幹の左右差を診ること!!

脳幹

頭位(上部頸椎・後頭骨)

仙腸関節・下部腰椎

荷重側・非荷重側
(距骨下関節・横足根関節)

脳幹の左右差と頭位の関係は相互関係といえます。頭位は軸椎歯突起の向く方向が大きく関係するのは翼状靭帯と歯尖靭帯の解剖学的作用で容易に理解できます。

また頭位に影響するのは土台の仙腸関節そして、骨盤と腸腰靭帯で強い安定度を保つ腰椎5番ということになります。

では仙腸関節に影響するのは?
これは普段の日常生活における荷重側・非荷重側が大きく影響する可能性があります。

このチャートからの推測ですが
仙腸関節の施術が頭位に影響し脳幹の左右差にも影響するといえるのではないでしょうか。

実際の施術において、仙腸関節の施術によるめまいが改善する例や、また反対に、仙腸関節が狂うと、頭位を狂わせ、脳幹の左右差を作り、脳幹と視床下部との関係上、顔面蒼白になることもあります。

私が、この考え方に至ったきっかけは一冊の書物との出会いでした。

中学2年生の夏、先天性心疾患の手術を受けた私は、入院中頭痛とめまいに悩まされ、主治医から耳鼻科の診察を進められました。
その時、診察して頂いた先生が、著者だったのです。私は迷わず購入し、丁寧に全体を何回も繰り返し読破しました。

めまいと文明から一部抜粋させていただきます。
(めまいと文明 医学と宗教の対話 檜學・小滝透 著)

簡単に解説させて頂きます。

上図は頸部深部受容器と腰部深部受容器が一体化されており上行性の神経回路として直接脳幹に達するものと小脳を介して脳幹に達するものがあることが理解できます。

また内側縦束(MLF)が傍正中橋網様体と動眼神経核との連絡で眼球運動と姿勢に大きく関係していることがわかります。

下図では頸部深部受容器と腰部深部受容器にわかれておりこの下図こそが、我々施術家におおきなヒントを投げかけてくれているのです。

頸部深部受容器から脳幹に向かう脊髄網様体路は上方に行くほど太くなっていますが腰部深部受容器にかけて細くなっています。

しかし腰部深部受容器からは小脳に向かう後脊髄小脳路が重要視されています。

小脳機能異常(誤字テスト、指鼻指テスト)への影響は、腰椎の影響がより大きくなり、また、脳幹・視床下部・自律神経の経路で自律神経反射に関係するのは頸椎の影響が大きくなると言えます。

要約しますと
頸部深部受容器は上部頸椎の関係が強く、腰部深部受容器は仙腸関節または下部腰椎との関係が強いという事実が、施術に応用できるのではないでしょうか。

今回は脊椎を学習する前に、神経学の重要性について触れました。
次回は仙腸関節の運動学と検査法について、お伝えしていきます。

コメントは利用できません。

鍼灸や柔整情報のポータルサイト

無料登録はこちら